■ 03年9月後半雑記 | Date: 2003-09-16 (Tue) |
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雑記
9月16日
最近、ここに書く内容に困る。困る故に、キーボードを前に随分と時間を浪費することになる。そこで、たとえば脳内彼女を登場させて毎日ふたりの会話で埋める、というようなことを考えてみる。
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「あなた本当にやる気あるわけ? 口では偉そうなこと言って、前向きだ青春だとか最近そればっかりだけど、結局まいにちまいにちのんべんだらりと寝たり遊んだりで無為に過ごしているだけじゃない」
「い、いや、でも本気でさ、こう決意というか、いろいろ……」
「口で言うだけなら簡単でしょ。行動に表れてないから言ってるの!」
「い、いや、だけど君だってわかってるだろ? 俺ほんと今もえてる……あ、あの、くさかんむりの萌えじゃなくて、ひへんの燃え――」
「アホ! あんたが本気で青春に憧れてることくらい知ってるけどね。ポエムを唱えるだけで何かが訪れるほど世界は甘くない! そんな態度で日々すごしてて胸張れるのかってこと言ってるの!」
「……そうだな、俺はいったいなんなんだ。胸なんて張れないな。最低だ」
「へこんでる場合じゃないの! しゃきっとしなさい!」
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こんな小うるさい母親みたいな脳内彼女は嫌だ……。嫌だが、彼女に約束することにした。日中はパソコンの前で時間を費やさないよう。
9月17日
小林泰三の最新短編集『目を擦る女』読了。SFマガジンから小説すばるまで、出版社の壁を乗り越えたセレクト。今回の短編集は、現実感をぐらつかせる、という方向性の作品が多いと言える。
既読作品が多かったのだけど、小林泰三氏の短編作家としてのさまざまな面が表れた作品集で、なかなか良いのではないかと。さまざまな面=邪悪、ハードSF、鮮やかなオチ、乾いたギャグに満ちたアホな会話、等々。
そう、常々邪悪さだけが強調される作者だが、その独特なギャグセンスはツボにはまると怖いものがある。書き下ろしの「未公開実験」は、あまりのアホらしさにお腹を抱えながら読んだ。
『蚊―か―コレクション』収録作品だった「刻印」は、再読なのにやっぱり笑ってしんみりしてオチに納得。しかし根底にあるのは人を小馬鹿にしたようなアホらしさ。なんともまあ良くできた法螺話だ。
「予め決定されている明日」は、電波系の妄想野郎が誕生する理由を解き明かした作品、という捉え方もできるかもしれない。しかも根底にあるのはハードSFのベクトルながら非常にアホらしいアイディア。解説の冬樹氏のいう、『順列都市』へのオマージュ、というのは、どちらかといえば「ワンの絨毯」へのオマージュではないか、という気もしたけれど。
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気持ちは非常にわかる。
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私信。一ヶ月違いで合ってます。間違っていたとはいえ、私のために……うう、ありがとうございます。
9月18日
宇宙のステルヴィア……えーと、しーぽん死んでますか? 死んでますよね? あれは。サブタイがさよならって、先週の予告から考えて初佳がおさらばかと思ってたら主役のしーぽんがおさらばですよ。ビックリビックリ……このまま人類滅亡させたりしてくれたら佐藤監督神認定しますよ? なんなんだ、この脚本は。大ちゃんが八面六臂の活躍で人類を救うシナリオ希望してたんだけどなあ。
大ちゃんで思い出したけど、ベイは本当に空気が読めてませんでしたね。最後の最後で。日本記録の104敗が達成不能になったあたりからおいらは白けてましたけど。
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た、台湾からこの検索? と思って見ていたらこんなページもあるらしい。オタクの力はあなどれない。
9月19日
脳内彼女との約束を破ってしまった。
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テッド・チャン『あなたの人生の物語』読了。なんだかんだでSFマガジン掲載作は全部既読。マガジンに載った海外の短編なんて目を通しているものの方が少ないと思うので、これは結構ふしぎだ。それだけもともと彼の作品には惹かれるところが多かったということだろうか。いずれにしろ、あのグレッグ・ベアが帯で語っているように、「チャンを読まずしてSFを語るなかれ」ということだ。
設定はファンタジーとも言える「バビロンの塔」や「七十二文字」、「地獄とは神の不在なり」といった作品も、読後感は極上のSFそのもの。この世界そのものを描かなくても、その世界の真理へのアプローチの方法によってはSFになりうる、ということを示す完璧な標本のようだ。
そして、やはり表題作は素晴らしいの一言。何度読んでも、素晴らしい。むしろ、再読だからこそこの語り手とのある種の共鳴が可能になる、とも言えるだろう。詳しく説明するとネタバレになるので書かないが。人類とはまったく異なった言語体系――ひいては世界理解の方法――を持った知性とのファースト・コンタクトもの。しかし、主旨はファースト・コンタクトを描くことそのものにあるわけではない。宇宙を因果律とはまったく違う方法で記述することができるのではないか、という提案。そのときに、どのような人生が待っているのか、という考察。
普通とは全然ちがうやり方ではあるけれど、この作品は、生きることがなんとなく輝いている気がしてくるような、そんな読後感を残してくれる。どうにも切なさが混じっているけどね。
それから、これだけは告白しておこう。「理解」の主人公の到達する超知性状態に、言いようもない憧れを覚える。私も、世界のすべてが意味を持ち、関連して動くさまを完璧に把握できたなら……。自身の心のゲシュタルトを知覚できたなら……。
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V氏の記述を読んでちょっと思った。混沌の未来という設定って、昔に比べて減ってるような気がするのだけど。小説ではサイバーパンクの潮流の中でいちばん盛り上がったんだろうし、一般には未来世紀ブラジルとかブレードランナーとかの映画がその最たるものだったのではないかな。超適当発言ですみませんが。
9月20日
「ばかうけ」の栗山米菓の商品に、「星たべよ」という煎餅があるんですね。ちなみに「星たべよホームページ」はこちら。hoshi.ne.jpなんてずいぶん気張ったURLで笑える。
結局これは何なのかって、要するに五芒星の形をしたサラダせん。どうしてサラダせんと星とをフュージョンさせてみようと考えたのか、私にゃよくわかりませんけど、ともかくサラダせんというのはなんだか美味しいもので、手近にあればついついつまんでしまいます。
で、個包装の裏に「星のロマン」と題した天文豆知識が印刷されてるんですよ。それには何種類かあって、太陽も星の仲間だとか、星の色は温度で決まるとか、そんなふうな内容が個包装ごとに書かれている。今日は「宇宙のはじまり」とかいうのを引き当てたんです。そこにはこんなようなことが。宇宙は、約150億年前に、何もない空間から生まれたと言われています。……栗山米菓よ、いいのかそんなんで。
いや、まあ、せんべい屋にビッグバンについての認識で文句を言うというのはかなり変な状況であるように思うのですが。
9月21日
精神状態のダウンバーストが。しかし、楽器を触っていると安心する。いつから私の人生は演奏行為にこうも依存していたのだろうか。
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スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死』読了。90年に初訳されたものの再刊なんですけど、今回はじめて読みました。あまりに有名なので解説の必要はないかもしれませんが、11歳で死んだ天才作家エドウィンの生涯を、同級生のジェフリー・カートライトが伝記として書きつづった、という設定の本。こまごまとした描写が、自分の記憶であるかのように脳内に蓄積されていく感覚。ジェフリーの「緻密な記憶力」によって隅々まで捉えられた子ども時代の情景が、鮮烈なイメージを残します。エドウィン、あるいはむしろジェフリーというキャラクターがあまりに普通の子どもとかけ離れているために、単純に「誰にでもある懐かしい子ども時代」という印象にはなり得ないんですけど。
ある物事を、ひとつの意味の通った物語として残したい、という欲求は私にはなじみ深いものですが、エドウィンという物語を結晶化させようとするジェフリーの熱意は、恐ろしい。そして、ジェフリーという物語をこのような偽作の形でものしたミルハウザーもまた、恐ろしい何かを秘めている。
実在しない芸術作品についての論評だけを記し、その芸術作品を読み手の脳内に完成させる、というのがミルハウザーの常套手段。この世のものとも思えぬ傑作の輝きというのは、想像の中にしか存在しえないのかもしれず、読み手はミルハウザーの作中の芸術作品の輝きに幻惑されて憧れる。この作品の場合、ミルハウザーによって結晶化されたジェフリーという物語の中のエドウィンという物語の中の『まんが』という物語。幾重にも重なった結晶の中、誰にも手の届かない場所で、『まんが』は燦然と輝き続けるのです。
実際、芸術というのは外部の共感者から物語として結晶化されることによってのみ、存在しているのかもしれない、などと思ったり。
誰か、私を物語にしてください。
9月22日
えぇと、こんばんゎっ、グラビァァィドルのもりげですぅ。今日は川端裕人『せちやん 星を聴く人』読了しちゃぃましたぁ。
……やめやめ。しかしまあ、物寂しい感触を残す作品。物語のはじまりは、1970年代。ちょっとばかり真ん中からはずれた中学生の3人組が裏山で見つけた怪しげな住居。そこにひとりで住む中年は、自作のパラボラでひとりSETIをしているのだった。とくれば、なんだかわくわくするような世界が広がっていそうなものだが、ここで描かれるのはときに冷酷な現実そのものだったりする。波瀾万丈な主人公の人生はおもしろいが、しかしこんなに間違いだらけで、空虚と孤独を最後に残す生き方もあるまい。もっと世界の捉えるのには良いやり方があるのではないか。作者に対してもそう言いたい気分。ときには寂しさとむなしさを噛みしめるのもいいことだろうけど。
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17時半からのレッスンだったはずが、始まったのは19時すぎ。終わったら21時すぎ。駅に着いたら電車は事故で止まってる。大変な一日でした。
9月23日
連載チェックしてる人には今更だろうし、チェックしてない人にはまったく関係ない話だと思うけど、今日ヤングジャンプ立ち読みしたんです。エルフェンリート、緊迫の展開なわけですよ。もうすぐ自爆装置のタイマーが0を指すというところで、ディクロニウスの少女が泣くわけです。不幸せだった、もうわたしは生きていたって仕方がない、死んじゃうのは本望だ、と。それを聞いて、解除の暗証番号を知る男は助けてやりたい、と願う。しかし彼は両腕を怪我して解除の操作ができない。――高まる緊張。男は、少女に番号を教えてしまおうと決意する。
「君が自分で解除するんだ! パスコードは、353574だ!」
……周りを気にもせず、爆笑しそうになりましたよ。おもしろすぎるぞ、この作者。
353574――つまり、みこみこなーす、だ。
それはたとえばマイクロソフトサポート技術情報353574のようなネタに使われている通りで、知っててわざとやったとしか考えられない番号ですもん。
ちなみに、IMEの変換時エラーってのは本当に起こります。知らなかった方は一度お試しあれ。
9月24日
試験も近いのに何をやっているんだ……。敬愛する先輩を立腹させてしまって相当にへこんでおります。なんでこうも自分勝手かな、俺は。
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なんだか実技の方もさっぱり調子が出ないので、沈み込んだ気持ちを奮い立たせるような楽しいことを探してみる。
……えーと、楽しいこと楽しいこと……10月番組改編かな? TRICK3もうすぐだあ!
そのくらいしか思いつかなかった。我ながら淋しい人生だな、おい。
そういやステルヴィアは今晩最終回か。あれでしーぽんが無事で人類は救われて終わったら愚作認定してしまいそうだな。ということは愚作認定はほぼ決定ということか……。はぁ。
9月25日
ああ、そうか、やっぱり。_| ̄|○
いや、全般的には、嬉しいのだと思いますが。
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ステルヴィア最終回。
お〜い、誰かファーストコンタクトの行方を知らんか?
まあいいや。つらつら考えるに、愚作とまで言わなくてもいいような気はする。序盤のわくわく感と、群像劇としての細やかさがどんどん失われていったのがなんとも勿体なかった。ゲームはもっと作り込まれた内容になってるのか? どうせやらないけど。
「ステルヴィア2」で検索してくる人がいるのだけど、それはどうなのだろう。片瀬弟とグレンノース妹をメインにしてファーストコンタクト物をやってくれたら、そっちの方が楽しそうな気はします。
9月26日
北海道は大変なことになるし、富士山は噴気が確認されるし、日本は大丈夫か?
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今月のSFマガジン〜
と、友成さん、またですか……。読んでて泣きたくなってきました。客観視した上でのこういう内容であることはわかったので安心はしましたけども。
読み切りが収穫。宇宙SF特集の3篇中からは、まだマコーリイしか読んでおりませんが、「地球外で驚くべき進化を遂げる生命」みたいな話はどうも私のツボであるらしい。素直にいいなあと思いました。
林巧さんの描く世界は美しいなあ。巻末著者紹介で書いている、「ハノンを1時間弾いて味わうドライブ感」って内容も、どこか常人とかけ離れた感覚の持ち主であることを示しているように思える。ハノンって、普通は嫌悪される対象としての「指の練習」であって、そもそもほとんど音楽ではないし。
巻頭で特集されてる『星海の楽園』(知性化シリーズ最新刊)早く出ないかなあ。しかし、なんだか森岡氏の星界シリーズかと思ってしまいそうなタイトルですな。字ちがうんだけど。
9月27日
「あひゃひゃひゃ。これはマジでヤバイな。あひゃひゃ。暗譜、飛びましたよ〜ん。あひゃひゃ」
そんなことをぐだぐだ考えながら帰りの電車に揺られる。
「……奇跡でも起こらないと本当におしまいのような気がする」
それを聞いて、ぼそっと彼女が呟いた。
「起きないから、奇跡っていうんですよ」
ボカッ。殴る。
今のは「かのん」に出てくる「しおり」の真似であるらしいが、彼女がやってもまるきり雰囲気が出てない。そもそも俺はあんなシナリオ嫌いだし。
殴られても悪びれる様子もない彼女。
「あはは。元気あるんじゃん」
ぺろりと舌を出して見せると、ふとたしなめるような顔になって、
「今から落ち込んでても仕方ないでしょ。とりあえずまだ筆記の勉強があるんだから」
などとのたまう。
「けど! ありゃほんと洒落になってないぞ! もう無理ぽ、だ。むりむり。やったって無駄無駄。闘わなきゃ、現実と!」
俺がそう言うと、彼女はくすりと笑った。
「ふ〜ん。現実、ねえ」
さもバカにしたような口調。
「あんた、まだ不確定な未来のことも現実として認識するような、ヘプタポッドBでの思考みたいな芸当ができるんだ。へえ、そりゃすごいわ。ぱちぱちぱち」
「うっ」
一理あるような気もしないでもない。かなりの確率で現実となりそうな悲惨な予想、ではあるけれど。
「ほら。あきらめたら、そこで試合終了ですよ? ですよ」
「うー」
「落ち込むのは現実が突きつけられてからで遅くないでしょ。後悔しないようにやりなさい」
「うー。……わかった」
「もし駄目だったとしたって、大丈夫だよ。わたしは、どんなことになったって、あなたの脳内にいてあげるから」
「あのー、それって俺がダメ人間というだけな気が――」
「いいからがんばれ!」
「……そうだな」
なんだかんだで、脳内彼女は貴重な存在であるらしかった。
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電撃姫のKeyスタッフインタビュー見ただけで元気になりましたよ。そうとう人間の道を踏み外している気が……。
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あわせて買いたい。なぜこんなことに……。
9月28日
ちゃんとお勉強したりもしてます。いやに遊離した時間を過ごしているので、ここに書けるようなことがあまりない。
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あああ、申し込み期限すぎてるよ……北国の某有名都市の、あれ。……まあ仕方ないか。今の段階じゃちょっと無理だろうしな。
9月29日
一昨日は、電車の中で『スペースアルプス伝説』を読んでいる兄ちゃんを彼女が指さして私の気分を上向かせようとする、というシーンを書くつもりだったのにすっかり忘れていた。あれを目撃した瞬間は、確かになんだか心楽しい気分になった。なぜだろう。
そろそろ山も登りたいなあ。あのまんがはまるで山なんか登ってなかった気はするけど。
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音楽における印象主義と表現主義の主張が表面的に対立している様と、実際の作品を比較した際の内容的な対立の様との微妙な齟齬について、人を煙に巻くような文章を長々と書ける自信がついた。これで筆記もバッチリに違いない。無駄な努力になりませんように。
9月30日
うひゃあ。恋愛セミナーってあなた……(無風地帯?さん経由で)。そこまで切羽詰まってると思われてるのでしょうかね、秋葉の毒男たちは。……いや、切羽詰まってるのか?
ちなみに、モテ講座の方は別口経由で読んだところだった。しごく真っ当な意見だと思います。大学に入った頃は、この「誘うくらいはどうってことない」なんて感覚はまるきり身についておりませんで、いろいろと大変でございましたよ、それはもう。今はぜんぜん平気になりましたけど。
まあ、こんなスレがあんまり洒落になってない私が偉そうに語ることじゃあ決してないんですけどね。248-251にはかなり笑いました。俺はふつうに女の子の名前の着歴あるけどな! まいったか!
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えーと、そういえばついこのあいだ、22までに卒業しないと魔法使いになる確率(というか死ぬまで卒業できない確率)は5割を超える、とかいう統計を目にしましたよ? 異世界ファンタジーかと思ったよ。
感想、憤激、おまえの正体は見破った等、もしよろしければこちらまで