■ 04年4月後半雑記 | Date: 2004-04-17 (Sat) |
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雑記
4月16日
ここ数日原因不明の咳が止まらないので苦しんでいる。今日もゴホゴホやっていると、
「ねえねえそれってさもしかして結核!?」
などと、彼女がやたらと弾んだ声で訊いてきた。なんでそんなにうれしそうなんだよ、こっちは辛いのに……(っていうか、脳は共有してるはずなのになんで彼女だけ平気なんだろう、ってのがそもそも疑問だ!)。ともかくぼくが結核であることを期待してるらしい彼女を許せなくて、恨みがましくなじってやったのだけど。
彼女がうれしいのにはこんなわけがあるらしく、つまり、サナトリウム文学みたいなものに憧れを持っているみたいなんだな。ぼくがベッドに横たわり、誰と交流することもなく日に日に死に向かってゆくのを、たったひとりで看取る。そういうのが結構ツボらしい。
アホか……(俺がな)。
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今日は合わせものの楽譜をいくつか買ったよ。シューベルトのばよりんとぴやののデュオは、これはもしかしておばか作品なんではないのか……?
4月17日
いやー、山崎努よいと思いますよ、ぼくは。NHKスペシャル「地球大進化」、まあいつものあれ系シリーズの味わい。CGが進化しただけあって、子供のころ大好きで見てた「地球大紀行」なんかと比べて映像の迫力だけは圧倒的に進化してる。あ、もちろん内容もずいぶん進化してることは確かです。
いつものやたらと感動をあおる大げさな風味に、山崎さんの「マイッタネ」と、ナレーションの「あなたの祖先が云々」と、なんか独特に奇妙なスパイスが効いてておいしいお汁がぴゅっぴゅって感じ? 見る人が見れば突っ込みどころいろいろあるんだろうなあ。今回は全海洋蒸発な話でした。次回はスノーボール・アースの話らしいですよ。
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最近ネットラジオでニューエイジ系をよく聴いてるんだけど、初めての曲をいろいろ聴いてるとなんだかCD買いたくなって困りますね。
4月18日
輝きを想像するその力ゆえに現実の輝きを鈍らせていやしないか、と。
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高校時代の部誌編集から行事のチラシ製作はては名刺作りまでロータスワードプロでやってました。つい先日までずっと。
はてさて、どうしたものか。ワープロでレイアウト整える技能はかなりのもんだと自負してますが、DTP関係のソフトとか使いこなせそうにない。OpenOfficeとか入れていじってみた。十分使えそうだけど、何か道を誤っている気がするよ。
しかし日本語フォントが少なすぎる。
4月19日
八重桜も、花びらより葉のほうが多くなった。アメリカハナミズキも散って行く。天気が悪いせいか、いつもにぎわっている公園にも人影はほとんどない。垂れ込めた雲と、ゴミが風に舞うだけのだだっ広い空間。しきりにドバトがそこらで求愛し、つがっている様子もどこかしら退廃的。まるでウェルズの幻視した80万年後の海岸のシーンのように、すべてが終わっている。
ああ、しかし見よ。花の終わった桜のみずみずしい緑を。咲き誇る石楠花を。繁栄してゆくドバトを。都知事は、カラスの前にドバトをなんとかしろ。
世界は終わるばかりではないのだ。
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(CLANNADと、アドベンチャーゲームの今後の展望についての)馬場社長のコメントに未来を見た。われながら何かひとつのものを盲信しだすと行き着くところまで行ってしまう性質が強すぎると思う。まあ、今はそれでいい。
4月21日
八百万の神。これは、実に麗しい信仰の形態だと思う。
いま「とらぶる・うぃんどうず」が結構盛り上がってるようだけれど、こういう方向性というのは日本の風土に実に合っている。
こういう方向性、というのは、つまりOSに人格を与えて尊重する、というような。
この場合、神としてではなく萌えキャラとしての人格が与えられているわけだが、そもそも八百万の神という考えを今風に改めたなら、八百万の萌えキャラとなるのも当然だろう。世界の真実は「かわいい」にあるのだから。
八百万の萌えキャラ。これは、世界に対してやさしくなるための大変優れた方法である。
たとえば、あなたの机の上に積み上げてある本がどさどさと崩れ落ちたとしよう。このとき、本ひとつひとつが萌えキャラだと想定するのである。あなたは、本が崩れたことに悪態をつくどころか、
「だ、大丈夫か!?」
と声をかけながら本を拾い上げ、やさしく埃をはらいさえするだろう。
また、彼女らにそんな痛い思いをさせた責任は、机の上に本を積み上げすぎた自分にあるのだ、と海よりも深く反省し、片付けをはじめさえするだろう。
そして、現れた机の表面を見ながら、そこにけなげな笑顔を見出し、
「そうか、君だって、今まで重たい思いをしながら文句ひとつ言わずにがんばってくれていたんだよね」
と悔恨をこめてつぶやきながら、シルクの雑巾でそっと彼女の涙をぬぐいさえするだろう。
ぼくは断固この「萌え神道」の信者である。
4月22日
ほとんど初対面なのに、なんだかいろいろとぼくのために動いてくれた人がいたりして、世の中というのはこういうことだってあるのだと心が温まる。
聴きにいけた演奏会、聴きにいけなかった演奏会。いろいろ。
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フェミニスト大喜びの実験結果なわけですが、どうなんだろうね。まあ、男のはしくれとして思うに、ほんと、確かに生物として発展していくためには男はいないほうがいいかもよ? 役立たずだし、駄目だし。
そりゃあさ、こんなしょーもない場所を見ても、女子が「家族の介護どこまでできますか?」とかまじめに考えてる横で、男子(佐賀県出身16歳千葉一臣くん)は「オタクの何がいけないの?」とか悩んでいるわけですよ。
君はだいぶ、いろいろといけないような気がする。……明日放送だそうです。見ませんけど、もちろん。
4月23日
半袖Tシャツでもいいかと思いつつ、長袖のシャツを着ていって正解。午後からぐんぐん気温がさがった。
一枚だけだと長袖でも寒い寒い。
最近国書刊行会の本ばっかり読んでるな。あとはネット小説とラノベだけ。
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Google兄さん日本語解らなくなっちゃった事件! とその解決法、当方タブブラウザ使用なので参考にさせていただきました。ini書き換えたら使えるようになったよ!
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恋風録り損ねたー! orz
い、一番罪深い回だったのに……
……なに? なんか文句ある? オタクの何がいけないの?
ごめんなさい、嘘です。リアルではちゃんと隠してますから許してください。
4月24日
19時50分ごろ、20時にしまるという郵便局の窓口の前にて。窓口には客がひとり。その後ろで、男が自分の肩掛けカバンの中をごそごそやっている。
男「あれえ?」
男「おっかしいなあ」
男「なんとか間に合うと思って急いで出てきたのに……」
窓口の客は用事を終えたらしく帰っていく。男、携帯で家に電話をかける。
男「あのさ、ぼくもしかして、封筒そこに置いてきてたりする? え? あ。あー。そうか。わかった。どうも」
男、電話を切る。しばらく放心したように佇む。
男(つぶやく)「往復で10分か……間に合うかな」
その背後で窓口にシャッターがおろされていく。男、それに気づいてあわてて振り向く。
男「え? あ、ちょ、ちょっとま……まだ時間まえ、ですよー」
シャッターが完全に閉まる。
男(つぶやく)「そうだよな。書留出すために家を出たのに、肝心の封筒を……さっきまで用意してたまさにその封筒を忘れてくるような人間は、時間前なのに目の前でシャッターおろされても当然だよな……」
男はがっくりと肩を落とし、去る。
4月26日
だいぶ前のことになるが、チェーンメール中心にかなり話題になり、雑誌にも取り上げられたりした“作者不詳”のとある替え歌(今でもぐぐると2000件以上ヒットする)がある。その作者が実は身近にいたというのでびっくりした。いいなあ。ロマンだなあ。
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最近読んだ本。エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』(河出書房新社)は超高品質シリーズである奇想コレクションの新刊なわけで、既刊に比べるといくらか薄めの印象はあったけど、良い短編集。ぼくはハミルトンって結局スペオペ以外ほとんど読んでいなかったに違いない。冒険活劇からおかしくて切ない怪奇小説まで豊富なカラーの作品がそろっていて、中にはずいぶんと虚無的で苦いものもあり。ただ、多くの作品は、子供のころ「探検」「冒険」という言葉に感じたわくわく感を漂わせている。なんだか、小学生のころ図書館で本を借りてくるとき感じた浮き立つような気分を思い出したりしました。
岩佐まもる『ブルースター・シンフォニー』(角川スニーカー文庫)、ひさしぶりにラノベで良作と思えた。前向きであること・人を信じる力・仲間、そんな感じのオーケストラもの。音楽の扱いにちょっともにょる部分がなくもなかったけど、いいんではないかと。あとがきで、「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』は傑作です(断言)」とか書いておられるので、波長が合うなと思った方はぜひどうぞ。中身自体はそんな作品じゃないですが、決して。
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SFマガジンの秋山瑞人「海原の用心棒」後編、まあこうなるわなあ、当然……。デジャヴュというやつを感じるが、なぜだろうかねー。
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さいきんのJコレクションはなにかを見失って迷走していやしないか。いや、森奈津子さんはもちろんこうでしかありえないのだし問題ないんですがね。ただ、個人的にはもっとバカなノリの作品のが良いと思うんだけど。
4月27日
CLANNADやってます。一つ目のエンディング見ました。が。
……1stプレイ、流されながら進めていたら渚と付き合いながらの風子エンドというルート的な問題もあったのかもしれないが……。この出来は正直かなり期待はずれ。いろんな意味で。
複雑になりすぎたフローチャートのせいもあろうが、やはりいくつか気になるボロが出てたし、細かな間違いなども重なって最後まで物語に入れず。
泣かせの器とゲームとして組み立てる技術だけが残って中身は形骸化したか。あの麻枝准ともあろう人が。かといって浅田次郎みたいな超絶技巧があるわけでもない、これじゃどうやったって感動もへったくれもありゃしねえ。
笑いの方もはっきり言って滑ってます。
しかも、ネタバレは控えたいので細かく書けませんけど、こういう安直な意味での「集大成」を誰が求めていたというのか? もちろん最後までやってはみますが……。ファンなので。むちゃくちゃ楽しみに待ってたファンなので。真のエンドを見たとき、初回のこの感想を覆すような感動を味わえることを祈りつつ。
まさかこんな辛い感想を書く羽目になるとは……orz
4月28日
CLANNAD。今日は学校が長かったのであんまり進んでないのですけど、とりあえず渚シナリオ中。
春原の妹、芽衣が出てきたり対バスケ部3on3のメンバー集めしたりしてるあたりから、かなり楽しい日常を過ごせているような気がする。昨日ああ書きましたけど、世界の広がりを出そうという方向性がだんだんに見えてきて、その点は評価できるな。
普通の紙芝居ぽい一本道シナリオを読ませるAVGじゃなくて、プレイヤーの行動に対してきちんとシナリオからレスポンスがあるAVGを目指しているのだ。
ただし、そこに綻びがあることによって、今までのKeyの作品にあった自然な心情の移り変わりが損なわれたりする。それが如実に出たのが、渚と付き合いながらの風子ルートだった。それ以前に、風子のシナリオそのものがちょっとどうかと思うけどね。まず物語ありきで、そのためだけに設定や出来事や人物の行動を配置していくようなやり方は、麻枝氏には荷が勝ちすぎでしたね。
それと、同意してくれる人は少ないかもしれないけど、麻枝氏のキャラってのは、どんなに現実離れした性格設定であっても、細かい部分から「生きている」実感を与えてくれるところが魅力だった。真琴が深夜に水瀬家の面々と焼きそば食いながらふと不思議そうな表情するときとか。観鈴が晴子さんとふたりで話してて、たまに関西弁っぽいしゃべり方をするときとか。そういう細かな部分ってのが、生命力を与えていた。今回はキャラを立てようって意識が前面に出すぎてる気がするな。
全体にDQNぽいのもだいぶいやな感じ。日本語ときどきおかしいし。時間あったんだから細部の詰めはもう少し気を配れただろうと言いたい。
や、まだシナリオひとつしかクリアしてないんで、「えいえんのせかい」の変奏であるところの「幻想編」が全体の中でどのように処理されていくのかも含めまだまだわかってることは少なすぎる。続報を待ってください。とりあえず、昨日のあれだけで低い評価を与えてしまうのは気が早すぎるように思える。何しろ今だいぶ楽しんでるんで。
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あと、エンディング曲、このアレンジってもろ「手のひらの宇宙」(『KEY THE METAL IDOL』のエンディング)だよね。絶対意識してるよね。
4月29日
CLANNAD中。
ことみ「おとといは兎を見たわ」
ことみ「きのうは鹿」
ことみ「今日はあなた」
……「たんぽぽ娘」キター!!!!!!!!!!!
さすが涼元氏が趣味を詰め込んだというだけはあるよ。SF万歳! もうこれだけでCLANNADへの評価はうなぎのぼりですぜ!
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えー、昨日あのあと渚ルートクリア、あとまともな風子ルートを見てみた。初日の感想は、あれはやっぱり尚早だったみたい。いちばん難のあるルートに、初回プレイで当たってしまっていたようです。というわけで、渚ルートの演出などを見た今、どんどんわくわくしてきてる。ごめんなさい。麻枝さん、ごめんなさい。
どうやらこの学園編は、どのルートもある意味AIRでいうところのDREAM観鈴ルートみたいな位置づけになっているに違いない。
この作品が何を目指しているか見えてきた気がする。憶測で語るのもなんだからまだ黙っておくけれど、もしこれが正しいなら、首をかしげたくなるような風子の設定も必要悪だったということだ。
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追記。
ことみルートクリアしました。
えーと、いいですか? 完璧。古きよきKeyのスタイルを、職人芸のような技術でまとめあげ、それとテーマ性を見事に融合させた涼元氏はすばらしい作家ですね、やっぱり。まるで、工芸品のような――そうだな、細密な装飾を施された竪琴のような――美しさだった。クライマックスの演出は、あれは卑怯なくらい効きますね。
ちなみにSFな人は必見のシナリオっすよ。
奇跡なんて起こらないこの世に、なにか奇跡があるんだとしたら。
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ことみシナリオはこれですっかり完結してるなー。とするとこれがDREAM編にあたるという言い方はできそうもない。難しい。最後なんか思わせぶりなの出てきたし。
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私信。こばげん、それいくないよ。……いくらなんでも失礼すぎるだろ、そういう態度って。ついでに、ヴォーカル曲ならCDの方に入ってるんじゃないの?(まだ確認してないけど)
4月30日
なんかクラナド感想かいてると如実にアクセスが伸びているので、当分つづけます。ただ、あんまり一日のうちの時間を割けないのでまだしばらくは終わりません。あしからず。
ことみルートでだいぶおなかがはったので、息抜きでサブキャラ特集としゃれこんでみた。恩師・幸村じいさんルート、寮母・美佐江さんルートクリア。
幸村じいさんルートは本当のオマケみたいなものなんで特に書くことないが、さわやかでよし。
美佐枝さんルートは、こじんまりしていながら麻枝節全開、しかもさりげに作品全体の仕掛けに触れているみたいだし、美佐枝さんが何しろ素敵なんで、たいへんにツボ。女装する少年とかも出てくるよ(って誰の心に訴えかけてるんだ?)
ここにきて、術中にはまってきた自分に気づく。このゲームは、もしかしたら本当に傑作なのかもしれない。
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しかし、ことみルートは本当によくできてる(まだ言ってる)。クライマックスは泣かせのための反則だと感じてしまう人もいるかと思うけど、そうじゃなくてあれは必然として存在する。いやもちろん泣かす気マンマンなのは間違いないんですけどね。
(昨日の喩えをまた用いるなら)工芸品として作られた竪琴がかき鳴らされるあのクライマックス。霧が吹き払われるように目の前が一気に開ける瞬間。あれは、箱庭としての小さな物語が、広い世界に接続された瞬間であり、ことみが世界と出会う瞬間であり、だから、その瞬間は、世界からの祝福がなされなければならなかった。
そう考えれば、ことみが一番最後に口にした科白やばよりんに添えられたカードの文句に作者がどれほどの意味をこめているか、わかります。
感想、憤激、おまえの正体は見破った等、もしよろしければこちらまで