■ 04年5月後半雑記 | Date: 2004-05-15 (Sat) |
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雑記
5月14日
だから語りすぎで前半の容量足りなくなってるって、俺。消してしまいたい。むしろ消えてしまいたい。
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ゼミの途中、またあの先生がわけわからないことを言い出した。解説中の戯曲の中に、「君がそばにいることが云々」という内容があったのだけど、それを受けて
「昔ねえ、フランク永井ってのがいてねえ、なんだか『君さえいれば〜なんとかかんとか〜』とか歌ってたんですよね、たしかあれは」
遠い目。
「つまり、そういうことですよね。フランク永井。ねえ。有楽町で逢いましょうなんて言っちゃってんのもあったしねえ」
どういうことだよ。わけがわからない。と、そこで最年長の受講生がおずおずと口を開いた。
「あの、もしかして『わたしは貝になりたい』とかやってた人でしたっけ? フランク永井さんっていうの」
「それは、フランキー堺ですねえ」
と先生。
……あなたたち、なんで授業中におもろいコントやりますか?
5月15日
ひとのふりみてわがふりなおせ、か。
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今日も書くことがないなあと思いながら画面に向かっているときのぼくほど無駄な時間をすごしている人間はいるのだろうか。
人間の数だけ時間というのはあるのだから、60億の人間がぼくと同じくらいに無駄な時間を過ごしてるとしたらその無駄さたるや天文学的である。その無駄な時間を集めただけで宇宙の開闢からブラックホールがあちこちで孤独死するまでの時間をカバーできるに違いない。
あ、いや、これほど無駄に生きてる人間はそういないですね、ごめんなさい。
5月16日
CLANNADという語について怒り心頭に発した文章を読んだ(偽作∽奸策経由)。うやむやにして忘れてしまいそうな問題だったので、ここでちゃんと意見を言っておこうと思う。
ぼくがCLANNADというのが一般名詞ではなく、バンド自身による造語であると知ったのは、去年の11月20日のことであったようだ。タイトル発表からすでに2年以上経過してようやく知ったわけで、この間ずっと「ゲール語で家族を意味する」ということばに「騙されていた」ことになる。今もまだ「騙されている」人は多いはずだ。雑誌側は、初期のプレスリリースの情報を信じて書いていただけだろう。この場合、誤情報を正すことはすべきだったはずで、その点 Visualart's/Key の側の態度には大いに疑問が残る。
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さて、実はゲーム発売直前の複数の雑誌インタビューで、開発者が「全部で3回、開発中止を覚悟せざるをえない事態が出来した」と語っている。このうちの少なくともひとつは、間違いなくタイトルがらみの問題だろうと目している。憶測にすぎないが、バンドのCLANNAD側とのやりとりもあった上で障害がクリアされたのではないかと思う。
また、現実に音楽グループCLANNADが不利益をこうむったかといえば、そんなことはありそうもない。居酒屋「月の雫」が居酒屋「月の宴」を訴えたような状況とはわけが違うからだ。ゲームの名前を通してケルトに興味を持ち、バンドの存在も初めて知り、そしてCDを購入するに至ったような人も見かけたくらいで、かえってプラスに働いた場面もあったようだ。
ただ、現在Google検索すると、日本語のページでトップ50件中49件までがゲームの方の関係であり、全言語でもトップはゲームの方、検索するには不便になったかもしれないが。
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そこまで踏まえた上で、何が批判されるべきなのかはっきりさせたい。
PCゲームの方の"CLANNAD"であるが、タイトルをこれに決めた気持ちはわからないでもない。ケルト幻想物語的な世界観にしたいという意図は企画当初からあったのだと思う。響きからしてケルト系だということが明白で(もちろん音楽グループの影響が大きいのだが)、しかも作品テーマに直接かかわる「家族・氏族」といった意味を持つ(と思い込んだのだろう)、CLANNADという語はこのゲームにぴったりだと感じられたはずだ。しかし、いずれにしろタイトル発表まで正しい由来を調べられなかったというのはあきれ果てた手落ちである。
そもそも、CLANNADが仮に一般名詞として理解できうるものだったとしても、バンドの名称として定着している以上なるべく避けるべきだったのではないだろうか、という指摘は成り立つ。たとえば、禅寺が舞台の育成シミュレーションを作るとして、"ZAZEN BOYS"なんてタイトルをつけることにはふつう躊躇するだろう。そう考えると、CLANNADというバンドの独自性を尊重する意志が感じられないという批判は甘んじて受けるべきだと思う。
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以前、"DESCENT"(ディセント)という洋物PCゲームがあった。DESCENTとは、急襲、急侵入といった意味の一般名詞だが、そのゲームのマニュアルには「"DESCENTE"は株式会社デサントの登録商標です。当社は、デサントより"DESCENT/ディセント"の使用について免責を受けています」と注記があったものだ。"CLANNAD"も何らかの注記をすべきだったろうか? そんなことはないだろう。ディセントの場合、登録商標という点で法的問題があるからこそ注記したに過ぎない。バンド名は登録商標ではなく、そのような注記はいささか不自然だ。
上記リンク先のこちらに、「敬意を払った様子も見えないのでは盗用」という記述があるけれど、どのようにすれば敬意を払ったことになるのかは難しい。ゲームの企画者がCLANNADをフィーチャーした曲を含むアルバムを愛聴盤として自分のコラムで薦めていたことなどを考えても、バンド名から拝借したことはなんら隠し立てされているわけではない。作品タイトルとして採用することが、その拝借元を貶めることになるとはふつう考えまい。そのこと自体に腹を立てるのは理由があまりないように思える。
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結局のところ、糾弾されるべきは以下の3点だと思う。・固有名として定着した語を安易にタイトルに選んだ点これらに加え、大事なことがもうひとつある。せっかく注意を促すメールを送ってくれた人間に対してまったくレスポンスをしないというのは、会社としてどうかと思う。今回オフィシャル通販を利用したこともあり、Visualart's という会社の態度にはいささか不信を抱いている。法人には法人としての人格というものが表れよう。誠意ある人格であるか否かは、会社としてたいへんに大切なことであると思う。親切で幾度も連絡をしたにもかかわらず、ひとことの答えも感謝もないのでは、指摘した側が腹を立てるのも当然だ。
・その語の意味の正確な調査に対して怠慢が見られた点
・誤情報(「ゲール語で家族だ」と言う内容)を訂正せずに沈黙している点
作品タイトル選考という重大事においての意識が低すぎたことを含め、Visualart's/Key には猛省をうながしたい。加えて、今からでも遅くないので、"CLANNAD"という語について誤った認識をしていたことについてのお詫びと訂正を何らかの形で行うべきだ。指摘してくれた人々への感謝も忘れずに、だ。
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最後に、上記リンク先の文章について書かせてください。まるで Visualart's 側が事実を知った後も「ゲール語で家族」だと主張を繰り返したような誤解を与える書き方をした上で「盗人猛々しい」などと書いたり、あげくのはてにイラク人虐待などと同列に述べるやり方は、乱暴であるばかりか極めて不適切だと思います。単なる誹謗・中傷と同レベルに見える危険すらあります。わたしには、あまり素敵な批判文だとは思えませんでした。
5月17日
もう……もういいじゃないか……。
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電車の中、勉強中の女性の単語帳がふと目に入った。英単語帳ではないようだった。おもに大文字ばかり、どうやら略語と思われるものがずらっと並んでいる。 MRI, MRSA, MS... 臨床ミニ略語集、というやつらしかった。そんな単語帳もあるのだな。
まともな人間として会話するための単語帳もあったらいいのになあ。
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オラフ・ステープルドン『シリウス』を読み終わった。人間並の知性を与えられた超犬の伝記(っぽいもの)なのだが、その圧倒的な洞察の深さ、簡潔な描写の迫真性、崇高さを志向する切なる思い、まさに名作としか。ステープルドンはマジヤバイ。恐ろしいほどに琴線に触れてくる。彼はたぶん、ぼくが目指したい知性そのものなのだ。あるいは、彼の目指す場所と同じ場所を目指したいのだ。主要4作品のうち3つはこれで読み終わった。『オッド・ジョン』が近場に存在しない。なんとかしないと。
5月18日
なんだかよくわからないけど、ここに愛を置いときますね。
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宵越しの怒りや悪意はなるべく持たないようにしてます。腹が立っててもよく考えればどうということはない問題ってのは良くあることですし。むしろどうでもよいことにできない問題なんて滅多にないとさえ。悪意なんてのは人間知性の欠陥のなせるわざですぜ。互いを理解できないから起こってるだけなんであって。
宗教という問題が薄い日本ですら、悪感情の連鎖は断ち切れないと。個々人が努力すりゃもう少しマシになるような気がするんですけどね。
5月19日
「あなたのメールがおもしろすぎてなんだか笑いが止まりません」というメールが届いた。「またぜひこんなおもしろいメールを送ってください」と。もちろんうれしかったが、ものすごいプレッシャーを感じた。もう一生あの人にメール送れないかもしれない。
ヒットした作家はどれほどのプレッシャーを感じていることだろうか。プロってのはすごいんだなあ。
5月20日
世の中には「ふたりのぜのぴったん」以外の音楽はいらないんじゃないかと思えてくる。ハッピー。
ちなみに、もじぴったんすらやったことありません。ごめんなさい。
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大阪弁でベートーヴェンを語るという試みの場に同席したのだが、どれほど正しいことを言っていてもそうとは思えないという弊害が現れることがよくわかった。ドイツ音楽と関西弁は、ものすごく相性が悪い。
大阪弁でふたりのぜのぴったんを語るところを想像してみた。たぶん問題ないと思う。ついでに、ドイツ語でふたりのぜのぴったんを語るところも想像してみた。ドイツ人も案外、明るい奴らじゃん! 好もしい気分になった。歌詞のすばらしさがどれだけ伝わるかが問題だけど。
ともかく、ふたりのぜのぴったんは、ベートーヴェンよりも普遍的であるに違いない。ハッピー。
5月21日
良い天気だった。雨上がりの青空だ。一年中、初夏の雨上がりの青空だったらぼくは鬱にならずに生きていけると思うのだけど。
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オーケー、君が愛だと思ってるものは、そりゃ愛じゃないぜ。谷川俊太郎もそう言ってる。
5月22日
雨がふったらお休みで……
こもりっきり。図書館に予約の本が来ているのに。髪を切りに行きたいのに。
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録画してあったアニメは休みに消化してます。忘却の旋律、あの頭のおかしな世界観に中毒症状を呼び起こされそう。妙な作品です。
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少年エース8月号より新連載「ヒビキのマホウ」原作:麻枝准、漫画:依澄れい。
わかったよ、買うよ、買えばいいんだろ……
5月23日
結局朝青龍でしたなあ。北勝力はもったいなかったが、この調子でやっていけばまたチャンスはありそう。以前から土俵上の態度がやたらでかかったので、のし上がっていくんだろうなあと予想はしてました。
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世の中あれこれに。
あなたの怒りは、あなたの人生を豊かにしてくれていますか?
あなたが知りもしないものを蔑むことで、あなたの好きなものの価値があがりますか?
あなたは批判を表明する前に、幸せな瞬間に気づくべきだったのではありませんか?
5月25日
コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(早川書房)やっと読みました。過去への旅の中、助かるはずのなかった猫を助けて現代へ持ち帰ったことで、歴史が齟齬をきたし始めていた。こいつは大変だ、というわけでヴィクトリア朝のテムズ川沿いに出かけてつじつまあわせに奔走する、そんな話。楽しすぎる。キャラが魅力的だし(ブルドッグのシリルをはじめとして!)、ミステリとしても、コメディとしても、一級品。インチキ霊媒師と降霊会対決するところとか、登場人物が必死になるほどこっちのおなかがよじれる。
ありがたい詩とか引用しまくったりしても、ただただエンタテインメントであるこういう作品こそ、実は小説として優れてるような気がする。
『ボートの三人男』読みたくなった。
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米澤穂信『さよなら妖精』(東京創元社ミステリ・フロンティア)もやっと読んだ。心に響く力を持った作品だと思う。ただ、この作品に確かにある「ミステリ以外の部分」についてぼくが感じた――そうだな、違和感、のようなもの、を述べるのは、容易なことではないようだ。なにしろぼくはその部分にこそ共感しながら読んでいたはずなのだし。うーむ。
5月26日
川端裕人『川の名前』(早川書房)読了。夏休み、少年たちは川で思いがけない生き物を見つける……。って、バラしても問題ないと思うので書きますが、ペンギンです、ペンギン。「カワガキ=川で遊ぶ子供」をキーワードに、自らの居場所と世界とを発見する物語。川という視点から世界を眺めたときに見えてくる光景は美しく、どこまでも広く、感動的。自然とのかかわりを忘れた物語が多いだけに、そのアプローチが気持ちよかった。
ここまで王道な爽快少年小説であるのだから、絶対悪である大人に立ち向かう正義の少年たち、というような構図に徹しても良かったように思えますが、過ちやらなんやらをひっくるめて味わいを出すのはこの作者の特長なのでしょうなあ。
5月27日
今日は複数のレッスンがあったり授業の流れで楽曲分析をひとりで延々しゃべらされたり、疲労困憊です。
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とか言いつつ、気になってた電車男まとめサイト読み始めたらとまらなくて最後まで読んでしまいました。よく耐えられたな、自分。いろんな意味で。
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高野史緒『ラー』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)読了。ピラミッドネタ。クフ王の時代へタイムマシンで到達した研究者が見たのは、掘り出される途中のピラミッドだった……。文中でヒエログリフを出して謎解きやったり、Jコレにしちゃ薄いけれどなかなか力の入った作品です(そのあたりの考証の面白みについてはぼくは何もわかりませんけど)。ラストでピラミッドの秘密ってやつが明らかになるんですが、そこの感慨深さだけでも読んだかいがあったというもの。
5月28日
この年になって、たかがいっこ上の女性に「かわいい」呼ばわりされると堪える。
「あはははは。大丈夫大丈夫。あたしが保証したげる。あんたぜんぜんかわいくないって!」
……それはそれで別にうれしくはないのだが。
5月29日
デイ・アフター・トゥモローYabeeeeee!!!!
先行オールナイトで観ちゃいましたよ! おもしろすぎる! 一晩で北半球凍結! 笑いが止まらねえ。
これ観て、考証がどうとか怒るような人間がいたら俺が相手になるぜ。あんたはこの映画の何を観てたんだ、と。
意図的に排除された「爆発炎上」系を別にすれば、パニックもののスペクタクル要素を全部詰め込んで出し惜しみなし。クライマックスに向けて、張り巡らされた緻密(大笑い)な伏線が収束していき、大小とりまぜた災難がこれでもかと登場人物を打ちのめす様は圧巻としか言いようがない。完璧なまでのクライマックスっぷり。笑いに笑った。C級映画も金をかければこうだぜ! という気概が見えてテンションあがりっぱなし。ヒロインは超可愛いし、文句つけようがない!
5月30日
あれ……? ここでしか公開してないこのアドレスに、どうして知り合いのあの人からメールが届いてるんだろ……? あれ? あれれ……? あはは。おかしいな。なんだか画面がにじんで見えないや。
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これだけ暑いと、夏休み気分になってしまいそうだよ。
5月31日
大学構内のトイレで小用を足していたトラックの運ちゃんの携帯が鳴った。何か大学側の注文の品を届けにきているようだ。
「あ、はい。ええと、中央棟5階ですね。ちょ、ちょっと待ってくださいね、いま車の外ですので――」
ジャー、と後ろの個室から水洗音。スライド式の掛け金がガシャンとあく音。……相手にも聞こえてるんじゃないか、これ?
「はい、ですからいま車の外でして、あのかけ直しますので」
ふる、ふる、ふる、と下半身をふるわせながら、彼は電話を切った。
感想、憤激、おまえの正体は見破った等、もしよろしければこちらまで