■ 04年6月後半雑記 | Date: 2004-06-18 (Fri) |
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雑記
6月17日
ヨーロッパの大学生は、トイレでタバコ吸う日本の不良高校生くらいの勢いで、隠れてマリファナをやってるものらしい(留学中の友人談)。やっぱりそんなものなのか。
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くねくね動画、ブレイクダンスの一種らしいんですが初めて見ました(日々之魚を蹴る経由)。とんでもない人間がいるもんです。
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小川一水『復活の地I』(ハヤカワ文庫JA)読みました。『日本沈没』を意識したとは本人の談だし、タイトルからも小松左京へのリスペクトは感じられます。そのとおり、大きな災害に対峙する社会の/人間のあり方を描くという仕事に真摯に取り組みながら、しかし作者ならではのひたすらに前向きな感触をしっかりと織り込んであるあたり、読んでいて気持ちが高ぶって仕方がない。ぼくは小川一水が好きだ。
地震で皇族が全滅し、突如摂政位につくことになる、僻地へ封じられていた物知らずの皇女(頭は回る)。これまた総督の死によって代理となった、為政者の鑑たらんとする熱血漢の若者。彼らがこの先どんな力強い未来を見せてくれるのか。地震自体にも秘密が隠されているようだし、星界の列強とのかかわりを含め、素晴らしいスケールの一大絵巻となることは期待して間違いなさそう。
6月18日
「いやでもね、ディズニーはあれだよ。UFJより安全」
唐突にそんな会話が聞こえてきた。確かにさいきんUFJはまずい状況ではあるようだが、なぜディズニーと比べられなきゃいけないのか。
「おいおい、UFJって……」
相方もそれは疑問に思ったらしい。なんだか引きつった笑いを浮かべながらたしなめている。
「だってね、UFJはあれ。キンキの光一が溶接とかやってるらしい」
UFJって溶接とかやってたのか。知らなかった。
「あ、そうなの……?」
「そうそう、だからね、あれだね。UFJは、あれそのうち絶対落ちるよ、ドッカーンって」
「いやだからさ、UFJっておまえ、USJ……」
「うん、そうそう、UFJはねえ、あぶない」
「USJ……」
「そうそう、USJはあれ、光一が溶接とかやってんの」
……。ま、まあ、ちゃんと直ったからいいとしようか。
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『恋風』最終回を見た。「心中、するの?」間を大切にした演出は最後まで光ってたと思う。伝わってくる空気感だけで胸苦しくなるような作品は、滅多にお目にかかれるものではない。そういう意味では良作という以上の出来だった。
しかし、これは原作に対していうべきことだろうが、そういう細やかな切なさやなんかを描くのに、実の兄妹を題材にとる必要があったのか。
むしろ、実の兄妹の恋愛というものを描きたい、というのが最初にあったのだろうから、こんな問いは意味がないのだろうが。
なるほど、究極の禁忌に題材をとり、詩的なまでに季節・時の流れに目をむけ、執拗なまでに主人公の人間的無様さを描写し、明確に象徴としての立場を与えられた登場人物たちを配す。
最終話で唐突に出てくる遊園地の閉園話と最後の兄妹の約束の見せ方だけ見ても、これはつまり日本ブンガクだったんだな、とも思える。サナトリウム文学とか、ああいう日本の伝統的ファンタジーの踏襲。
内容がどうあれ、演出で人の心を動かすその力において、すぐれたドラマであったことは確か。楽しみました。
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今日は知り合いがたくさん出ている演奏会を聴いてきた。贔屓目抜きで素直に楽しかった。こういうのは心がほくほくして良い。
6月19日
どうでもいいことをどうでもよくなさそうに討論するのはある種の文学の特性で、そのような態度を受け入れるのは大変に疲れる行為だ。世の中には歓喜と絶望があればそのさまざまな混ぜ方でじゅうぶん味わい深いと思うのだ。それに、世界の仕組みについての疑問はもう科学に任せる以外ない、これはもう科学信奉者とか関係なしに。
ああ、だがしかし恋がどうしたというだけで絶望の淵に沈んでみたりするような物語と、宇宙の中に存在する精神の秘密についてオカルトまがいの討論を繰り広げる物語と、いったいどちらがどれだけどうでもいいというのだろう?
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とりあえず、ぼくの精神はグリア細胞なんかにも宿っている。のかもしれない。化学信号が精神の一翼を担っているのだと考えると、なんだか心もとないような感触がするのだけど。
6月20日
台風はまだ遠いというのに風が吹くわ吹くわ。こういう日はきっと、桶屋に生まれたことを心のそこから天に感謝するのだ。いやぼくは桶屋のあととりではありませんので残念無念。
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ディスプレイがとんでもなく不調で、色がおかしくなったりする。それどころか画面が消えてはつくことを繰り返したりする。電源部分がカチカチ不穏な音を立てながら、大昔のテレビみたいに十字型の光輝を残して唐突に真っ暗になるのだ。どっか接触が悪いのかとおもってあちこちぎゅっぎゅっと差し込んでみたりしたらとりあえずなんとか持ち直した様子。
草間彌生作品みたいなけばい配色になった画面を見たときはどうしようかと思ったぞ。マウスポインタからも、滲んだようにピンク色の繊毛みたいなものがいっぱいたなびいていたりしたのだ。
6月21日
台風の中干してある洗濯物を見た。なんか楽しそうだった。
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急遽の合わせなどしたあとで知り合いのリサイタルへ。悪天候にもかかわらずいっぱい人が来ていて驚く。はっきり言ってしまえば、知名度のないクラシックの演奏会なんてのは、演奏者の知り合いと、良くて知り合いの知り合いくらいしか来ないものなのだ(その人は生徒さんがたくさんいたので、女子高生とか好きだから大勢きてた)。
しかし、ぼくの後ろでは、中年の男性ふたりが糖鎖とか酵素活性とかについて話してるのがとても気になったのだけど、あれはどういった知り合いだったというのだろう……。
6月22日
民間での宇宙飛行に成功、というのは心躍ることではあるのだけど、弾道飛行で高度100キロ3分間、ってのはやっぱりちょっと「宇宙飛行」というのとはイメージが違うんだよなあと思ってしまうのでした。
しかし、何事にも先鞭をつける人がいればその道をゆく人もまた増えるのだろうから。もしも、人間個人の物語より人類全体の物語が優先されるべきだというのなら、宇宙へと飛び立つことは犠牲を伴おうと必ず成し遂げねばならぬ課題でしょう。
私はいまぜんぜん人類のために生きていないしそもそも子孫を残すという基本的役割で貢献できるかすら危ぶまれるわけなのですが、それでもオラフ・ステープルドンの小説にあるような人類の物語が(たとえ滅亡で終わる悲劇であったとしても)ありえるのだとしたら、そこにつかの間の勝利の歓喜を添えることは大いに意味があると思うのでした。
……自分でも何を書いているのだかよくわからない。要するに宇宙開発はバリバリやってくれってこった。日本にもガッツのある企業はないものか。
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DVDぴあ、AIR劇場版の出崎監督インタビューを読む。監督は原作をちゃんとプレイした、という話を以前聞いたことがあるのだが、このインタビューからはそのような様子はサッパリ感じられない。どうやら「ボーイ・ミーツ・ガール」で「大スペクタクル」ありの「青春映画」になるらしい。
……プロデューサーが必ず盛り込むと言ってた「泣きたくなるほどの郷愁に満ちた夏の匂い」と「温もりを携えた人と人の絆」は大丈夫なんですかね……。いずれにしろ原作とはまるで別物になることは間違いなさそう。それはそれで力のある作品に仕上げるだけの監督だとは思うのだけど。
まあなんだか知らないけどどうせ観にいくんだろうな、俺は。
6月23日
どうも突き落とされた5歳男児ってのが並みの5歳児とは思えない。
5歳のころなんて、中学生といったら、もうほとんどオトナみたいに見えたような気がする。ところがまあ、こいつは相手をまだ子供だとじゅうぶん認識した上で「お前のお母さんにゲーセン通いのことをバラすぞ」とか脅してるわけで。末恐ろしい。
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合わせやらがたくさんでなんだか疲れた。電車の中で、かわいらしいお姉さんがムキムキ漫画『HEAT』をカバーもかけずに読んでいたのがかなりファンタジーだった。
6月24日
日が長いこの時期が好きなんだ、とそいつに言ったら、
「俺は秋が好きだな。生き物が死んでいく感じがいいんだ」
と返ってきた。こういうときどうも引きずられてしまうのが悪い癖で、
「だけど、日が長くなって生命が輝く世界を別の場所から眺めている自分、という構図でこの時期をとらえるなら、それは死の予感へと逆につながりうるんだよ? 生命の横溢の中に死を感じることこそ、本当の悲劇的な死の感覚なんじゃないのかな?」
とか、思ってもないようなことを口走ってしまった(意味ありげなだけで意味ないし)。なんだよ。こんなこと口にしてたら本当に死について考え続ける文学青年みたいになってしまいそうじゃないか。
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シラーの「希望」という詩にシューベルトは2度作曲しているらしい。そのうちの2つ目、晩年に書かれた方の曲をやった。
神から与えられる「歓喜」に対して、人の内から湧き上がるのが「希望」。希望ね、なんだか弱さを含んだ言葉だけど好きさ。
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あうー。"Auf Wiedersehen." の挨拶すら出てこないですよこの頭は! どうしようもないよ……。
6月25日
いつも通る交差点にきたら、なにやら人だかりがしていて、その間からぺかぺか赤いライトが見えるのは救急車なのだった。見回してみたらちょっと離れた場所にパトカーも停まっているんで、どうやら交通事故のようだ。壊れた車両なんかが見当たらないところを見ると歩行者をはねでもしたのだろうか。そんなにひどい事故じゃなかったんだろう……と思うことにする。外傷なんかなくても一応救急車を呼ぶというのはよくあることなのだろうし。
ところで、はじめて見たのだが、パトカーの頭についてる回転灯は、どうもびよーんと上に伸ばせるようになってるみたいだ。雨に煙ってるせいもあるのだろう、せいいっぱいの高みから「ここに停車車両ありますっ! どうか車線変更してくださいっ! 追突とかしちゃいやだよっ!」と主張してる様子がなんだか可愛く思えて仕方がなかった。誰かパトカーを萌えキャラ化してくれ……。
6月26日
うーむ。なんだかやる気がわかない……。
今年は無理に自分に「あなたの人生の物語」を言ってきかせてその通りに気持ちを盛り立てるような必然もないんで、適当に行こうっと。
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羽根布団の上で寝るのは気持ちいいよ、と言われた。
きれいに晴れないこの季節、出しっぱなしだった羽根布団が干せない。それだから仕舞えない。
丸めた羽根布団と押し合いへしあいするように眠っていた。
「羽根布団の上で寝るのは気持ちいいよ」
それは誘惑。でも。
羽根布団の上には、猫の反吐が染みている。いくらよく乾かしたって、その過去は消せないのだ。
そう、過去は消せない。断ち切ることなどできない。だから。
ぼくは羽根布団の上に寝ることをあきらめた。
6月27日
寄生虫キャラクターグッズというのがあまりに衝撃的でどうしようかと思いました(ネタ元読冊日記)。
たとえば目黒寄生虫館なんかはなんといってもタダで入れるし、デートスポットとしてもきっと最適だとは思うのだ。そこでこの寄生虫ステーショナリーセットとか売ったとしたら、恋人たちは記念に買っていってくれるだろうか?
「そうかー、おまえサナダムシが気に入ったのか」
「……うーん、そうなんだけど……このTicklesちゃんてもちろん無鉤条虫の方だよね? 有鉤条虫は怖いからきらい!」
「そうだよなあ、やっぱり無鉤条虫最高! だよなあ。でもさあ。おまえにサナダムシとられちゃったら俺はなんかアタマジラミとかそんなもん寄生虫にも入らねえよ、ってくらいのしか残ってないぞ……」
「えー、何いってんの! おそろでサナダムシのTicklesちゃんにしよっ! ね、おそろ、おそろ。えへへ」
「うーん。なんかおそろいなんてのは恥ずかしい気がするんだけど」
「いいじゃん、ねっ?」
「じゃあそうするか」
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って、なんか書いてるうちに主旨がずれてるー!?
6月28日
ぼくは昨日V氏らが目黒寄生虫館・東京タワー水族館というパーフェクトデートプランを実行していたことをまったく知らずに文章を書いた。実は東京タワー水族館と寄生虫館を比較して書いてやろうかと考えすらしていた。
こりゃどうもびっくりだ。こういう偶然があるとどうしてもシンクロニシティ! とか思ってしまう。
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坂本康宏『シン・マシン』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)読了。脳組織が有機機械に組み替えられる奇病、"MPS" が流行し、その機械部分の機能である「MPSランニング」によって人類全体が情報ネットワークに直接接続された状態で生きていくようになる。
しかし、一部MPSに罹患できない「スタンドアロン」と呼ばれる人々は、ネットワークから隔絶されて被差別民としての暮らしを余儀なくされていた。そんなスタンドアロンのひとりである国東弾は、弟が「突発性MPS脳炎」で昏睡してしまったことをきっかけに、不穏な動きに巻き込まれていく……。
謎を秘めた世界観はなかなか魅力的で、MPSランニングのネットワークにぶらさがるように残った遺跡としての「インターネット」とか、細かい部分も楽しい。
しかしどういう受け取り方をしていいのか迷うのですね。サイバーパンクっぽいもんなのか、ユーモア冒険活劇なのか、現実感が崩壊するぐるぐるした話なのか、はたまた単純な兄弟愛の物語なのか。どうも軸足が定まってないような印象。ラストで明かされる世界の秘密も、なんだか今まで魅力的だと思ってた世界観を潰されているようで少々ガッカリ。
こういうのはいっそラノベのレーベルで、軸足は「キャラクター小説」におきながら書いてしまえば、「なんと! ただのキャラクター小説じゃない、なんだかすごい話だったぜ!」という感じで評価が上がりそうな気がする。
6月29日
ホットメールのアカウントに、MSN Hotmail 縺ョ螳ケ驥丞、画峩縺ォ縺、縺・※、というサブジェクトのメールが届いていた。
無料アカウントがいろいろパワーアップするというのでそのお知らせなんだろうが、本文も譌・鬆・・ MSN Hotmail 繧偵#蛻ゥ逕ィ縺・◆縺縺阪∬ェ縺ォ縺ゅj縺後→縺・#縺悶>縺セ縺吶ゅ%縺ョ蠎ヲ Hotmail 縺ァ縺ッ縲∝セ捺擂縺ォ豈斐∋縺輔i縺ォ螟壹¥縺ョ繝。繝シ繝ォ繧帝∝女菫。縲∽ソ晏ュ倥〒縺阪k縺薙→縺ァ Hotmail 繧偵h繧贋セソ蛻ゥ縺ォ縺泌茜逕ィ縺・◆縺縺代k繧医≧縲√Γ繝シ繝ォ繝懊ャ繧ッ繧ケ螳ケ驥上・蠅怜刈繧堤┌譁吶↓縺ヲ陦後≧縺薙→縺ィ縺ェ繧翫∪縺励◆縲・こんな感じなのでなんにもわからない。MSNはいったい何をやってるんだ……。
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瀬名秀明『ロボット・オペラ』のあまりのでかさ分厚さと重たさに驚嘆。クラウン独和辞典よりも分厚いよ。あれは、リアルの本屋で買って手で家まで持って帰る気にはなれないんじゃないのか。売ることとか考えずに作ってそう。
感想、憤激、おまえの正体は見破った等、もしよろしければこちらまで