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もりげレビュー


  古い話2 Date: 2002-06-22 (Sat) 
 MZ-2500は、まさに8ビット機の最高峰であった。640×480ドット、256色表示が可能な美しい画面は、そこらの16ビット機よりよほど洗練された印象を与える。良く整理されたBASIC、そしてP-CPMというコマンドラインで立ち上げることも可能。さらにはMZ-2000やMZ-80Bといった過去の機種のエミュレーションモードも搭載していた。
 ぼくはいろいろとこいつで遊んだ。なんと言ってもウィザードリーにははまった。タイピングを覚えたのはこのゲームのおかげだろう。宝箱の罠をはずすときや、呪文を唱えるとき、ちゃんと自分で綴りを入力しなければならないというシステムだったからだ。綴りが違うと「罠に引っかかった」とかいう結末が待っているのだ。そんなわけで、"poison needle"だとか、"teleporter"、あるいは"katino","tiltowait","montino"なんてのを打つのがどんどん上達した。それに、英語モードで遊んでいたこともあって、"dicapitate"(首をはねる)なんて単語を覚えたりできた。そんなマニアックな単語が英会話に役立つとも思えないけどさ。
 P-CPMモードでは、ゾークなんかが遊べた。これは本当に英語が読めないとできないし、結局クリアは諦めてしまったが、コマンド入力アドベンチャーとしては圧倒的な自由度を誇る作品だったような気がする。たとえば、何もない道の真ん中で"jump"とか入力すると、"Wheeeeeee!"なんていう表示が出てきたりするのにはかなり笑った。ジャンプしている表現らしい。
 何よりわくわくしたのは、しかしゲームではなかった。マンデルブロ集合やジュリア集合、レイトレーシングの表示プログラムだった。当時のCPUの能力では、640×480の画面を埋めるのに何時間もかかる。そんなふうに、1ドットずつ、だんだんと絵が現れてくるのを飽きもせずに眺めたものだ。
 今のぼくのパソコンにはやっぱりフリーのマンデルブロ集合計算ソフトが入れてあって、32bitトゥルーカラー表示の超絶美麗画像をものの数秒で完成できる。もちろん、マンデルブロ集合ファンとしてそれはとても嬉しい。でも、あのZ80ののんびりした計算が、なんだか懐かしくて仕方がないのだ。

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