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もりげレビュー


  古い話 Date: 2002-05-25 (Sat) 
 ぼくが最初にコンピュータに触れたのは、おそらく幼稚園の頃のことだ。MZ700というパソコンの『tiny Xevious』というゲームだったように思う。父親が「Oh! MZ」という雑誌に載っていたリスト(ちなみにオールマシン語だった)を打ち込んで遊んでいるのを見て、少しやらせてもらったのだ。タイニー、とはつくものの、立派なゼビウスの移植であった。
 この作品を作った人物は当時MZ700のユーザーの間ではヒーロー的な存在で、後には『スペースハリアー』を移植するという驚異的な芸当を見せてくれたらしい。説明を加えておくが、MZ700はプリセットのキャラクター表示しかできない機種であって(つまり、全角および半角の文字以外は画面に出せない、ということだ)、その環境でシューティングゲームを作ること自体そもそも不可能に近いのである。
 MZ700についてもう少し解説してみよう。シャープのパソコンの2本柱となったのが「X」シリーズと「MZ」シリーズであった。最終的にはMZシリーズは謎のPC98互換機「MZ2861」をもってしりすぼみに終了し、まもなく完全に廃れてしまった。かたやXシリーズ「X68000」は今なおユーザーを抱えている。しかし、全体的に見て、性能的にはMZが上だったのではないかとぼくは思っている。
 MZ700というやつはなかなかエポックメイキングな機種だった。まず、キーボード・プリンタ一体型だった。つまり、本体にキーボードとプリンターが一体化しており、外付けの機器はモニターのみ、ということである。当時としてはこれほどのコンパクトさを誇るパソコン(マイコン、と呼ぶのが普通だったが)はなかなかあるものではなかった。そして、プリンターはプロッタプリンタ。パソコン用のプリンターにプロッタプリンタを採用したのはこの機種だけなのではないだろうか。これは2つの指定された座標間に直線を引く、という方法で印刷を行うプリンターである。今でも、製図用の専用印刷機はこのタイプであったりするらしい。
 父親はこの機種のマシン語をマスターして、家計簿ソフトを自分で書いたりしていた。あまり役には立たなかったようだが。ぼくは、ゼビウスの彼の手によるシューティングゲームをその他2本ほど遊ばせてもらった。この手のゲームが苦手なのは当時からで、結局ひとつもクリアした覚えはない。
 そのうちに時代は変わり、超高性能8ビット機、MZ2500が我が家にやってきた。父親はMZシリーズがひいきであったらしい。


――つづく――

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