普通の音楽ホールにはよく縁があるので、舞台裏や楽屋なんかも見知っているけれど、歌劇場の裏なんてそうそう入ることもない。
まず楽屋に入るまでの道のりが大変だった。楽屋口も楽屋も1階にあるのに、一度地下に降りてチェックを受けないと入れない。ウィザードリィとかでありますよね。下の階の強い敵の中を潜り抜けないと入れない隔離されたスペース。楽屋はそれに相当する。重要アイテムイベントとかは起こりませんが。
今日使ったのは「中劇場」だったのだけど、中とは言えスケール大きい。普通に客席に相対している中央舞台に加え、ちょうど同じ広さのある上手舞台と下手舞台、奥舞台とが、テトリスのT字をなしている。それらは普段は舞台袖として利用されている様子だ。
というわけで出番前は上手舞台に控えていた。目測で40×30×30メートルくらいの直方体の空間で、壁も床も一面真っ黒に塗られている。
中央舞台寄りにはふたつ、衣装替え用の、入り口にカーテンが引かれた木造コンテナみたいなものが並んでいた。衣装替えは人が手伝う必要がある場合もあるからだろうか、2.5×2.5×3メートルくらいはあった。これなら化け物じみて背が高い人なんかも安心して使える。「早替え用」と書かれた赤いビニールテープが貼ってあるのは必要ない気はした。誰が見たってそんなことわかる。
ともかく、舞台が客席よりでかい――客席だって1000人以上収容なのだ――というのは普段の音楽ホールに慣れた身には衝撃だった。こんな大規模な舞台裏を見せられると、そりゃオペラのチケットも高くなるわけだ、と納得もいく。
ぼくがどこかオペラとかミュージカルとかを好きになれないのは、こういう金満なところも関係してるのかしらん。
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