何を勘違いしてか、超有名高級ブランドのぶちっくなるものに潜入捜査を試みる。
いや、なんかね、そこのサロンでコンサートやってまして、ちょっと興味があったもので。
扉をくぐった瞬間から、1秒ごとに体力が削られていくのを感じる。この毒々しい雰囲気は一体ぜんたいなに。
敵が群れをなしている。彼ら彼女らの視線、「いらっしゃいまセ」ということば、そのひとつひとつが攻撃だ。きつい。
悪かったよ。このまえ美容院行ってからもう2ヶ月近いよ。悪かったよ。このジャケットなんて3000円で買ったよ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。やばい。
エレベーターに乗って上の階の会場へ。エレベーターの中はひとりになれるので気楽かと思ったら、なんだかしらないけど階数表示のところがやたらとオシャレで、というかこの銀色っぽい内装は何!? エレベーターの中でも1秒ごとに体力が減る。こわい。
コンサートが終わると、「お帰りはぶちっくの中をお通りくださイ」とか命令されて、エレベーターの使用は禁止。キラキラしたものが並ぶ磨き上げられた階段を降りる。俺の身なりを見ればこんなところ通らせたって意味ないことくらいわかるだろうに、何の嫌がらせなのだこれは。ひどい。
家に帰ってハレ晴レユカイのジャケットを眺める。体力が回復した。
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