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もりげのどうかと思うような日記

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2007年03月29日(木) 暑い

せつなせつないよせつな

これは介錯アニメのせいで脳がぶっ壊れた人が書くダイイング・メッセージみたいなものなんだ。だからどうか、読み手たるあなた方はこんな過ちを繰り返しませんように。

京四郎と永遠の空ね。最後まで通して介錯アニメを見たのが初めてだからかもしれない。良い作品だったなと今は思えるんだ。ゆるぎない風格を漂わせる作品だったよ。介錯って、CLAMPをグレードアップしたような存在なのかもしれないね。

何のリアリティもなく切り取られた概念の集合が、どうやら何かの物語らしきものを駆動する。これはある意味、古い古い叙事詩やオペラを髣髴とさせる手法だね。神話的と言ってかまわないんだと思う。現代において、意図的にこんな手法で文学作品を生み出す行為には、とてつもない勇気が必要だったはずだよ。妙に細部にこだわることを称揚し、人物の微かな心情の揺れがどうこう、などという戯言ばかりが溢れる日本の文壇をぼくは憂えているよ。この作品は、現代文学に対するまったく見事なアンチテーゼだった。

作品構造も考え抜かれていたね。序盤から繰り返されていた「拝啓、私の王子様」のくだり。あれすら伏線だったとは驚嘆すべき完璧さだね。本当の主人公はせつなだったことを、「拝啓、白鳥空さま」という最後のせつなの語りで明かして見せた。せつなせつないよせつな。

そう、何よりこの作品の成功は、せつなという主人公を生み出した得たことによるものだった。彼女のことは、単なる不遇のサブキャラクターに見せかけて描き続けていたね。その描き方を選んだことまでが、緻密な計算の上に成り立つ芸術的かつ恐るべき発明だったんだ。

最近、思いを寄せる男性が他の女性とくっついたとき、毅然としていられる女性は少ないよね。すぐに精神が崩壊して空の鍋をかき回し続けたり、あろうことかノコギリでライバルの喉笛をかき切ったりしたがるね。そんな中にあって、せつなのあの強さは銀河中心の降着円盤が放つ光よりもまぶしく輝いていたよ。

せつなせつないよせつな。

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  1. もりげ (04-13)
  2. トリガラ (04-13)
  3. V林田 (04-12)


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