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もりげレビュー


  03年3月後半雑記 Date: 2003-03-16 (Sun) 

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雑記

3月16日
 なぜ昨日の文章で余計に心配されるのだろう。私は、長期的展望と不撓不屈の決意を表明したに過ぎないと言うのに。本当に大丈夫です。本業の能力を磨くことが先決ですし。頑張りますよー、私は。
 それより、私はあなたが心配なのだ。日記の更新が1行2行だけだと胸が痛む。更新がされていないと胃まで痛む。そのくらい心配しているのだ。

 隣国? 気にしなくて平気です。

・・・
 『葬送』をようやく下巻の半ばまで読み進めた。こうして読んでみると、なかなかどうして読み応えもあるしそれほど退屈でもない、ぜんぜん悪い作品ではないのであった。そして、ショパンがアルカンについて非常に好意的に語るシーンが出てきて、これだけで私は作者を賞賛する気でいっぱいになりましたよ。

 ああ、でもさっさと終わらせて角川ホラーのあれやこれやを読みたいですなー。

3月18日
 アバレアバレー。

 きなくさい世の中です。フセインについてはイラク国民も消えて貰いたがっているようですし、それを実現するには強硬手段もやむを得ぬのかもしれません。しかし、私も戦争には基本的に反対ですし、ブッシュのやり口はお話になりませんし、日本の対応もやっぱり見てて情けないです。
 反戦を叫ぶ人々が多いことは救いだと考えていますが、こういうのはちょっと困ります。前から辻さんってキモイなあとは思ってたんですけど、わざわざこういう真面目な反戦のただ中で失笑もののクソポエムをアップするとはどういう神経をしてらっしゃるんでしょうか? アバレアバレー。

3月19日
 まあ、きのう「失笑もののクソポエム」とまで言ったのですから、少しレビューでもしておきますか。まず、この「風の少年」を読んできてください。話はそれからです。



さて、では「風の少年」レビューのはじまりはじまりー。

まず最初の行。
少年は見つめている。
とあります。ふつう読者は、ここで「何を見つめているのか?」と思う。当然なにを見つめているかは続きで明らかにされるはずだと考えます。

で、つづき。
戦車の残骸の中。
いきなり次の行に見つめている対象物の説明が来るのでは芸がないですから、もう少し情景描写をしてみても良いでしょう。残骸の中で、何かを少年は見つめているのです。



さあ、何を見つめているのでしょうか!?






  次の行↓
裸足の少年が鉄くずを拾い集めている





おい、少年!


見つめてるんじゃ


なかったのか!?



……この3行、まとめて見てみましょう。
少年は見つめている。
戦車の残骸の中。
裸足の少年が鉄くずを拾い集めている。
やっぱりおかしいだろ、これは。




その下の連の比喩としての機能すら果たしていない驚くべき描写にもいろいろ言いたいことはありますが、その程度はさらっとスルーしてあげましょう。





さて、ではずずいと先を。
鉄くず拾いの少年の足元に
鉄の鳥が落としていった鋼鉄の玉子。

あの、たった2行の中に「鉄」が3回も出てくるんですが、もしかしてリアル鬼ごっこの影響ですか?



さあ、ともあれ玉子を拾った少年は街に売りに行きます。
途中、ひつじや、らばにみせびらかした。
(中略)
ひつじは、めえ、ろばは、ひひん。
ひつじや、らばにみせびらかしたのに、


鳴いたのはひつじやろばだぁー!



なんか、思惑があるんですかね? というか、なんで羊が出てくるの?

せっかくなのでこの行にはもう少し突っ込んでやろう。




みなさん、萩原朔太郎の「遺伝」という詩をご存じでしょう。かの詩の中で、朔太郎は犬の遠吠えを
のおあある とおあある やわあ
と表現しました。犬の遠吠えなんて、常人はわおーん、ぐらいしか表現を思いつかないのですが、詩人というのはこんな擬音ひとつで人の心を揺さぶるすべを心得ているのです。

さて、辻さんはどうでしょう。











ひつじは、めえ、ろばは、ひひん。








………。
……。
…。









それにさぁ、辻さん。




ひひん、は馬だろ!





で。最も注目すべきなのがこの鋼鉄の玉子なんですが。
カチカチと中から音が聞こえる。
……え? これってもしかして、タイマーの音ですか?



あの、鉄の鳥=爆撃機、鋼鉄の玉子=不発弾だと解釈してたんですが、つまり






爆撃機が


時限爆弾を


落としていったんですか?





あー、混乱してきた。それともなんだ、私の比喩表現の解釈が完璧に間違ってますか? どうにかしてください。






なんにしても、ギャグとしか思えませんし、真面目な反戦メッセージと受け止めることは困難を極めます。繰り返される
少年一人に爆弾一個。
という文も理解に苦しむのですが、なんですか、これはなにかのスローガンですか?

3月20日
 ドライブというやつを。え? 家族とですよ。城ヶ島まで行って来ました。私の詩的センスを結集して表現したならば「ピーヒョロロ」とでも表されるべき声で鳴き交わすトンビが印象的でしたね。高校の生物部の活動の一環として磯採集に行ったときに、本気でトンビに弁当をさらわれたという苦い思い出があるので、やつらは私の敵なんですけどね。

 城ヶ島では今日がヒジキ漁の解禁日だったらしい。

 イラク戦争の始まった日として世界に記憶されることになったその日づけは、城ヶ島におけるヒジキ漁解禁の日として定義することもできるというその事実に思いを至らせたとき、わたしはなんとも言えぬ感興にとらわれるのであった。

 とかブンガク者ならきっとそんなふうに書くに違いない。


 城ヶ島といえばもうひとつ、「スランピング」「火炎構造」など特殊な地層形成の様子がつぶさに観察できる名所であるということを挙げておかねばなりません。
 しかし、そういった関係の案内板すらなく、観光客たちはむき出しの地層に感心するふうもなく海を眺めていたりするわけで。それらを売りにすることは観光客へのアピールという観点から見ても充分いみのあることだと思うんですけどね……。

 猫が多くて、しかも全体に警戒心に乏しかったので写真などたくさん撮れました。涼元悠一氏は、きっと城ヶ島が気に入るに違いない。

3月22日
 ってもう23日ですよ。何をやっとるんだか。
 たぶん最初のベータ版以来やってなかったぷちわらの冒険をダウンして遊んでみたり。これ、作者のMIYAさんはとてつもない才能をお持ちだと思いますよ、ほんと。早く追加ステージを遊びたいなぁ……。グランドファクトリーの最終面なんか、結構むずかしいと思ってしまったのですが、どうやらこの先は遙かに難しい面が待ち受けているらしい。わくわくしますなぁ。

3月23日
 『家に棲むもの』読了。なんというか……悪趣味もここまでくると爽快です! ホラーというよりギャグ短編集という気すらしてくる。「食性」なんて笑いっぱなしでしたよ、もう。今から振り返ってみると、デビュー作の「玩具修理者」がいかに抑制の利いた作品だったかということを思い知らされます。

 そういえば『@ベイビーメール』延期したらしいですね。確認してないんですけど。なんでだろう。

3月24日
 『ファントム・ケーブル』読了。どす黒いです。厭、という字がとても良く似合う本ですね。気分が悪くなります。
 だけど、私は彼の作品に割と親近感というか何というか、感じてしまうんですねえ。いつも郷愁とか信じる心とかそういったクサイものへの執着を語る私ですが、一方でその下に隠蔽している自分の負の感情を赴くままに綴ったら、こんな世界観ができあがるのではないかな、などと考えてしまったり。
 それでも、ちょっと外を歩いて風に吹かれながら、ちっちゃな女の子が帽子をかぶって見せながら母親に向かって「可愛い?」なんて訊いて、それに母親が苦笑しながら「うんうん、かわいいかわいい」なんて答えているのを見たりするとそんなどす黒い気持ちは簡単に薄まってしまう。こんなことでは牧野さんみたいにはなれないなぁ。

・・・
 のだめカンタービレを5巻まで揃えて買ってきました。ああ、こんなマンガでやる気を刺激される俺って、何なんだろう。単純? それだけの問題ではない気も……。

3月25日
 ああああぁぁぁ! くそぅ。目を皿のようにして探してください

・・・
 そういえば、@ベイビーメール、出てるらしいじゃないですか。誰ですか、私に嘘を教えたのは。

・・・
 近所の本屋でエロゲ雑誌を立ち読みしながら談笑していた2名の小太りの男。……勘弁してください、一般書店でそういう会話するのは。しかも「ダ・カーポが……」とか言ってるの。曲芸作品が好きなんですか、そうですか。おつむのレベルが知れますよほんと。

 などと同族嫌悪としか思えないようなことを書いている自分が一番むなしい。
 で、でもでも、滝本さんも「あの」をつけて絶賛してらっしゃるくらいですから、麻枝氏の作品はやっぱり別なのですよ。だからどんなにハマっていようが、ぼくは胸を張っていれば良いのですよ! ははは! ……はぁ。

3月26日
 星雲賞か。国内はこれに同意。海外は『航路』に「ルミナス」で決まりなんですかなー。メディア部門、ゲームがひとつもないんですね。いろいろあったんじゃないかと思うんですけどねー。

・・・
 ヘンタイ度チェック、おすすめ遊び場=コミケとか出てきやがりました。数値も100,67,67,100ということで。困りましたねぇ。

・・・
 おなかがよじれる……。40から始まるAAシリーズ、あまりのシュールさについつい最後まで見てしまいました。本スレはdat落ち中のようです。

3月27日
 ああ、「L/R」最終回録り逃した……くそっ。「オサレだ」という形容動詞を生んだすばらしい作品でした。おしゃれ、とはちょっと違うんですね。このオサレというのは。……どうも最後までオサレだったらしいのでちょっと残念。

・・・
 色占い、やってみました。黄色で多分合ってるんだろう。と思いましたが、なんかあんまり痛いことばかり書いてあるのでもう一度、選択に困ったところを変えてやってみる。
 白、キター! 「あなたは、天使のような人間です」……ポカーン。おすすめ職業に、「SF作家」キター!!!! いやはや。こっちのがいいかも。

3月28日
 中井拓志『アリス―Alice in the right hemisphere―』読了。あの、これ、なかなか良いです。今回のホラー文庫の豪華ラインナップの中で読む価値は一番高い作品かもしれません。なんで、その他を揃えて買った方なんかは是非ともこれもご購入ください。
 ふたつの大きな疑問が、この作品の原動力です。白痴天才――サヴァン能力者たちは、一体どうしてあんなことができるのか? そして、それより遙かに根元的な問題とも言えるのが、我々の見ている世界とは一体どれだけ「世界そのもの」であるのか? という疑問。
 で、話はと言えば「精神遅滞の美少女アリス。その笑顔を見たものは気が狂い、その声を耳にした者は死ぬ」ということで美少女が災厄を振りまくだけ。さすがにその設定じたい(SF的ガジェットで一応は論理的に説明されているとは言え)無理ありすぎだと思いますし、小説としての出来もどうかと思います。「伝えたいこと」の内容の深さと「伝えるための物語」がどうにもちぐはぐな印象なんですね。
 しかし! それでもこれが奇妙に力を持った作品であることは間違いありません。ラストシーンは不覚にも瞳の奥にじんと来るものがありましたし。
 この作者には非常に特異な才能を感じます。今後も楽しみ。ということでみなさんも読みましょう。

3月30日
 ぎゃぼー。GA最終回見逃した……ガクリ。

 なんか春めいてきたせいか頭がぼんやりして困りますね。新番組も忘れないように注意しとかなきゃ。特に宇宙のステルヴィアは……2日からか。メモメモ。

・・・
 今日はちょっとジャケットでも買おうかとあちこち回ってたんですが。なんというか、「いいな」と思う品物ってのはやっぱり値段も張るんですね。当然っちゃ当然か。

3月31日
 あー、ever17……俺もいちおーやっておきたいなぁとは思ってるんですが。なんとかなりませんかねぇ。ネタバレだけ見てしまったような記憶があるが。

 シューベルトのピアノソナタ18番ト長調「幻想」を弾いてみたりしている今日この頃なのですが、どうしましょう。この曲を弾いてるとあんまり幸せで涙が出そうです。聴いてると退屈することがしばしばなシューベルトですが、やっぱりイイんですよねぇ。どこまでも息の長い旋律と優しい和声、心の浮き立つようなリズム。そして奥底に秘められた胸苦しさ。シューベルトにとって、多分世界は音楽そのものだったのだろう、などと思う。
 歌曲を多く書いているように、「ことば」と深くつながっているように見えながら、それでいてシューベルトの曲はまさに純粋な音楽そのものです。たとえば私がスクリャービンを弾くときは、自分の具体的感情と結びつけて表現するような感じになってしまうことが多いのですが、シューベルトにおいては極度に抽象化・純化された感情の表現であり、あるいはその感情すら音楽に溶けて感情そのものではなくなっているような印象。うーん。うまく言えないけど。

 とにかく、こんな春めいてきた季節にシューベルト弾いたりするとそりゃあもう幸せだと。そう言いたい。

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