外出するとき、本を忘れた。たいへんなショックだった。読書ができないで、電車の中で何をしろというのか。
仕方がないので、人間観察でもやろうか、ということになった。しかし、いくら観察しても何もわからない。唯一、よれよれになったチェックのシャツを着て、なにやら大事そうにカバーをかけた大判の漫画を読んでらっしゃる男性について、「きっと女性にもてないんだろうな」という推理を完成させたのみだった。
帰りはもうそれも飽きたので、鈍行に乗って眠りながら帰ることにした。電車で寝るのは、日本人特有の文化だという。わたしは生粋の日本人としてその伝統を守る行為にいそしんだ。あの揺れの中で目を閉じるのはけっこう気持ちがよい。
先日、用事ついでに世田谷美術館の「ヨルダン展」に寄ってきました。石器時代からギリシャとの交易時代、ナバテア遊牧文化、ビザンツ帝国、と、激しい文化の移り変わりが目の当たりにできて大変おもしろかったのですが、そこで見つけた小中学生対象の展覧会関連ワークショップのチラシ。
アイン・ガザルで発掘されたひとがた「アイン・ガザルの双頭の胸像」にちなんで、願掛け用のひとがたを制作しよう、というワークショップらしいのですが、こいつに「おねがい! アイン・ガザル」という名前をつけたのはどなたですか。このタイトルになんとなく怪しげな空気を感じ取ってしまうのは、こっちが悪いだけですか。それともその感覚は正しいですか。
mail:gerimo@hotmail.com
えっ?何で?普通じゃん!!
どうやらぼくの頭が何か悪いものに汚染されているだけのようですね。