川におまるが4つも落ちていると思ったら、本物のあひるだった。
水源そのものが枯れて砂利道と化した川床に、オアシスのように残った水溜り。
いかにも粗大ごみが不法投棄されまくりそうな、そんな光景。
ならば、あひるたちはおまるに擬態しているのかもしれない。なんという逆転の発想。
そのすぐ下流では、砂利道になっていたところにネコジャラシが根付いて、原っぱへと変貌をとげている一画すらあった。
これからきっと、教科書で見たような植物群落の遷移が見られるに違いなかった。つぎはススキ原になって、低木が生えて、葉樹林になって、ついには極相林へと突き進む。この川が枯れたままで終わるつもりなら。
未来の人々は、帯状に形成された雑木林を見て、その成り立ちの秘密に思いをめぐらすだろうか?
今までも何度もこういう事態はあったが、今年はあんまり洒落になってないような気がする。もしかするとこの川は終わりだ。
そうしたらもう、おまるを見ることはなくなってしまうのだな。
でも、そのときはホンモノのおまるを捨てにくればいいのだ、きっと。
ニセモノのおまるたちは、幸せそうに身をよせあっていた。
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