大きな公園の中を自転車で行ったら、草刈工作員が大挙しておしかけ、あちらこちらでぶいーんぶいーんと草を撥ね散らかしていた。そのせいでものすごく臭かった。こんなに臭いから草っていうのかな、と思った。ごめんなさい嘘です。
キリギリスが群れで鳴いているところがあり、そこで思い出したのだけど、最近の「アリとキリギリス」は、アリが過労で倒れたところをキリギリスが病院に運び込む、というラストになってたりするらしい。「ゆとり教育」の精神がそんなところにも表れているのだそうだ。なにがなにやらよくわからない。
しかし、どうしてアリとキリギリスなんだろう。アリとセミじゃいけないんだろうか。
歌いに歌ってすごしたセミはついに息絶えて、ぼとりと地面に落ちる。そこを、働き者のアリが通りかかって手を合わせ、「君は自分の好きなことをやって死ねたんだから本望だろう。骨は拾ってやるからな」とその遺体を食葬にするために引きずっていく。どこまでも重たいセミの亡骸を必死で引っぱりながら、アリさんはなぜか涙を流している自分に気づいたのでした。
公園の木の上では、時代に取り残されたセミが名残惜しそうに、セミ文化の最盛時代への挽歌を歌っていた。
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