総士のポエムがなくなったり、大変なことになっている某「SF超大作」。スタッフルームで行われたであろう会話を想像してみた。
「まずお願いがあるんだ。あの最後のポエムをなくそう」
「ええっ、あれ一番人気ある部分なんですよ!?」
「んなわけないだろ! 頼むから……」
「だって、視聴者からの手紙だってホラ。読みますよ」
カズキは一呼吸おき、一段高いトーンで手紙を読み始める。
「『なんですかこの作品! ヤバイです! 特に、エンディング前に必ずある総士のポエム、あれヤバスギです。面白すぎですよ!!!』――ね、面白すぎるとまで言ってくれてるんです」
トウは頭を抱えた。
「それは、ほめてるんじゃないからな」
「どう見たってほめてるじゃないですか! 面白すぎって言ってるじゃないですか!」
だめだ。これ以上言っても埒が明かない。トウは自らの多忙を省みず、決意を固めた。
「これからは俺が書く」
一時、視聴継続を断念しかけてましたが、なんだか今までのステキ要素がぜんぶなくなったようなのでこれからは見ようと思います。悲惨なセリフを言わせるため(あるいはポエムを読ませるため)だけに動き回る薄っぺらなパペットみたいだったキャラクターは、いつの間にか血の通った人間っぽくなってる。どこまでも無意味だったセリフは、いつの間にか重層的な意味を持って響くようになってる。これは摩訶不思議ですね!
最初からこうなら、パクリだろうがなんだろうがそれなりに価値ある作品になってたんじゃないのか……?
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