いつも言っている気がするけど、総合芸術(芸術、ということばは微妙だけど)で、しかも中心にあるのが文章である、というのは、ぼくにとってはかなり特別な作品形態だ。そういうデジタルノベルはたいていアドヴェンチャーゲーム、と呼ばれるけど、実のところあんまりゲームとして楽しめるとは思えない。
でまあ、「キネティックノベル」を立ち上げる、というビジュアルアーツの馬場社長がそんな気持ちを代弁してくれてたりする。
なんだか最近、VAVA社長はなかなかたいした男なんじゃないかと思えてきました。少なくとも、目先の金儲けのためだけにエロゲー会社を運営してるわけじゃない、ってのは伝わってくる。電撃オンラインの方の記事には「新たな文化の創造」とまでぶちあげたコメントが載っている。すごいよ社長。その文化、享受したいものですな。
なんにせよ、CLANNADことみシナリオで画面効果、音楽を含めてすべてを計算しつくした完璧な演出を見せてくれた涼元氏に、絵師はこつえーと来れば楽しみにせざるを得ない。音楽の戸越まごめ氏はどうだろうかと思ったけど、考えてみたらことみシナリオで要求を見事に満たした楽曲制作をしたのは彼なんだし、かなりの技巧派といえるよな……。
しかしこの人選もVAVA社長なんだろうか。いろいろと、辣腕っぽい仕事ぶりです。
ただね。俺がノベルゲームのファンだからこうして持ち上げてるけど、「いい作品なのになぜ一般に普及しないのか」は自明のことだし、別にキネティックノベルって実際のところそうすごいこと提唱してるわけでもないからな。
文章中心の総合芸術、その高みはまだ遥か先にある、と思う。
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