台風も来るし、と思って部屋の雨戸を閉めて、ふっと振り返ったらなんだか足元に黒くてフサフサしたものが落ちている。ちょうどネコジャラシの穂を真っ黒にしたみたいな感じ。もう少しで踏んづけるところだった。なんだこれ。
こういうとき、脳はとっさにいろんな可能性を吟味する。その多くは意識に上ることもなく捨てられてしまうけど、たまに変な思考が釣れることもある。ともかく、最初に頭に浮かんだ発想は、飼い猫の尻尾の先が取れて落ちちゃったのかな、ということだった。うちの飼い猫の尻尾は黒くて、もちろんフサフサだ。それに最近とみに老け込んで、なんだかかわいそうなくらいよぼよぼしてるんで、尻尾くらい取れてもおかしくないような気がした。
いや、さすがにおかしいって、それ。
というわけでなんだこれ。なんかのストラップみたいなやつですかね。さわり心地よさそうだし、つまみあげてみようとしかけて手を止めた。
そんなストラップ持ってない。だから、こんなものが自分の部屋にあるのは明らかにおかしい。異常事態だ。
と、その物体はのそのそ動き出した。動き出す直前にはすでに正体は把握していたので、心臓が止まったりせずにすんだ。紙の上に誘導して雨の中にダイビングさせてあげた。
なんだろう。雨戸を閉めたときに外から飛んできたのか。そうとしか考えられないというか、それ以外のルートがあるのだとすると余計に怖い。
みなさんも、部屋の中に見慣れぬストラップが落ちているときは、注意すべきである。
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