ふつかサボるとどうもあとがいけません。いろいろと事情がありまして……。
ああ、また太ってる。ウエストの数値が近頃明らかに増えてて、昔入ったはずのズボンがはけません。
英語では贅肉のことを "spare tire" などと呼称するらしいのですが、自分の腹の皮膚の下にゴムタイヤがすっぽりはまってる様子を想像して笑えてきます。
運動しないといかん。
小川一水『復活の地3』読了。これで完結です。関東大震災や阪神大震災などの資料を丹念にあたり、震災と戦う人々と社会の動きを群像劇として描ききった大作。これこそが人類の求めるべき物語だと思う。たとえば心の闇を丹念に描く小説もかまわないが、人間の正の力がどのように生み出され、それが人をどのように動かしていくことができるのか、そういう方向で現実を見つめることだって可能なのだ。
惑星の首都を襲う大規模な震災、混乱が拍車をかける人種差別そして戦争、権謀術数でもってその危機を利用せんとする宇宙の列強たち。それらを乗り越えてゆくときに、個人の思いは切り捨ててしまうしかないのか。それとも、ほかのやり方があるのか。
おとぎ話になりそうなところを、緻密なシミュレーションに沿って話を展開させることでぎりぎり踏みとどまり、説得力のあるメッセージを伝えてくれる。小川氏は、「現実逃避して純粋に楽しめる小説と、現実に対して何らかの働きかけをめざす小説と、両方書いていきたい」と述べておられたが、これは後者なんだろう(後者なのにこんなに面白いというのはすごいことだと思う)。
もし実際に何かの災害に、あるいはほかの苦難に直面したとき、「そういえばあんな小説があったな」と一瞬思い出す。それだけでいいのだ。それを知っているだけで、きっと何かを変える力になるのだから。物語の力の本来あるべき姿ではないか。
第二次震災への備え部分の盛り上がりに比べ、実際起こってからの部分はややトーンが低くなった気がしてすこし残念だったのだが、しかしそれも勿体無いと感じるかあざとさを抑えた堅実な書き方と感じるかは受け手によるだろう、という程度の話。ハードなシミュレーションから、前向きな力を引き出してくれる、著者らしい佳作。
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