なんとなく気分が優れないのでいろいろと原因について考えてみたが、確たる答えにたどり着かない。たぶん、これかな、というのはあった。
図書館に本の返却をしに行ったら、前からちょっとしたファンのかわいい司書さんがちょうどカウンターにいた。ややこしそうな客の相手をしていてしばらくかかりそうだったけど、その後ろに並ぶことにした。実際返却口はそこしかないのだ。
と、そこにメガネ男性司書が出てきて「返却ですかぁ?」
と親切にもメディア貸し出しカウンターで特別に対応してくれちゃったのだ。ここでぼくはきっと、本来なら自分の抱くべきであるはずの感情によって、実際にそのとき抱いた感情を無意識に覆い隠したのに違いない。
つまり、ぼくは「ちっ、このメガネめ!」と、自分がひどく分厚いメガネをかけていることを棚に上げてそんなことを思っていたに違いなく、「ありがとうございますっ」の笑顔でそれを心の奥深くへと押し込んだのに違いなかった。気分が優れないのは、きっとそのことが深層意識を――
「あんたが覆い隠してるのは、自分のすべきことがぜんぜんできてないって明白な事実でしょ!」
「あう」
「明日はひとつくらい仕上がったといえるようにしときなさい」
「はい……」
mail:gerimo@hotmail.com