ほんとうにほんとうに。
今日の昼食は担当の人に奢ってもらった。メニューには、A,B,Cの3種類のランチが並んでいて、Aが一番安く、B,Cの順に500円くらいずつ高くなる。一番高いのを頼むのはなんとなく気が引けるし、かといって一番安いのにしてもかえって気を遣わせるだろうか。いやいや、そんなこと考えずに、いちばん惹かれるのを頼めばいいじゃないか。
「うーん、ぼくはBランチにしようかな」
そう言ってみたら、相手は
「そうですか、ぼくもそうします」
と告げてウェイターを呼び止めた。
「あの、Aランチふたつ」
……おい。それはわざと聞き間違えてるのか? あ、いえいえ、嘘です。ご馳走してもらってそんなこと言いませんから。それでよかったんだと、思う。
そもそも奢る気なんてなかったんじゃないかという気もしてきた。
「ご馳走になっちゃってすみません」
と礼を言ったとき、相手の顔は引きつってはいなかったか。どうも思い出せない。
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