西日を捕まえて金色の枝をした木々と、赤く染まった木造の家。それをバックに今は土がむき出しになった小さな畑があって、おじいさんがひとり、さび付いたペンキ缶で焚き火をしていた。
最近建った高層マンションの頭が瓦葺きの屋根の上にのぞいていたり、マンホールが空の色を映していたりするのもしっくりと胸になじむ。
そんな光景を写真に撮ってやろうとして自転車を止めたら、焚き火番のおじいさんがあからさまに不審者を見る目でこっちを睨む。それもそうだ。周囲には彼と僕しかいないし、別に店なんかがあるわけでもない。わざわざ道の真ん中に自転車を止めて何をやっとるんだきみは。
開き直って彼もちゃんと入るように携帯電話を構えたら、はじめはカメラじゃないから写真を撮ろうとしているとはわかってない様子だったけど、そのことに気づくやいなや、かいがいしく面倒を見ていた火をほったらかして逃げていった。
逃げなくてもいいのに……。まあ、断りもせずにレンズを向けたのは失礼なんだろうけど、あんなに胡散臭げにされたらこっちだって動揺するんですよう。
結局写真は撮ったけど、構図の焦点としておじいさんには居てほしかったと思うことしきり。
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