最終回スペシャル1時間、今回の脚本はなんだかむりやり平穏無事に、無難にまとめた印象はぬぐえなかった。しかし、シリーズ序盤のあの目も当てられぬ糞っぷりを考えると、「無難にまとめた印象」などという感想を書けることがそもそも奇跡的である、ということについて各々方は思いを至らすべきなのであります。
しかし乙姫(つばき)の岩戸帰還シーンの結婚式っぷりには笑った。結婚式の後にはちゃんと新たな生命まで誕生してますよ! どこまで本気で演出してるのか判断に困る。わざと狙ってエヴァのコンテを真似てるような部分もあったし、作品自体を壮大なギャグとして捉えることも可能なくらいだ……。
あと、終盤は全体に「ここにいる」「そこにいる」という言葉を含む科白がいくらなんでも濫用されすぎかと思いました。
しかしいずれにしろ、木っ端微塵に砕け散ろうとしていた作品を無理やりにでも、テーマ性を持った物語に仕立て上げた冲方丁氏の仕事は見事だったと思います。
ただ、「いのちとは」「存在とは」、そういう根源的な問題に真っ向から対峙するなら、もう少し予定調和的な結末でない場所に着地してほしかった気はする。結論を出すまでのプロセスも弱いし、あれでは中学生なんかでも納得しないと思います。そのあたりは特定の客層と特定の受容方法を見越した作品じゃ仕方ないことなんでしょうか。
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