とある日本人作曲家による創作歌劇の練習をお手伝いしなきゃならないことになって、楽譜をもらってきた。
あらすじ――
あるところに鶴の母子がいました。ちなみに父親は矢で射られてすでに死んでいます。
ある日、都の大臣が鶴を捕まえろという命令を出し、悪い人たちがやってきます。彼らは母が餌を探しに出た隙に、ご馳走で子鶴をおびき出し、連れ去ってしまいました。
母は狂ったように子をさがして飛び続けましたが、見つからぬうち季節がいくつも過ぎて……。
そしてボロボロになって飛べなくなったとき、母を呼ぶ子の叫びがかすかに聞こえたのです。子鶴は檻に入れられて監禁されていました。
鳥の姿ではとても子を助けられない。
母は祈りました。天にいる夫よ、私が見えているなら、私を人間の姿にしてください、と。途端に母は人間の女になり、子を助けにゆきます。
しかし、子は人間の姿をした母を母と気づかず怖がるばかり。衛兵どもがついに不審者に気づいて迫る中なんとか檻から出してやると、子鶴は必死で逃げていきました。母は、衛兵に槍でメッタ刺しにされて倒れてしまいます。
倒れふした母の上に、雪が降り始めます。結局、子は母に気づくこともないまま飛び去り、母は雪の中で息絶えました。人間の姿のまま白い雪に埋もれた骸はしかし、鶴が飛んでいるように見えるのでした。おしまい。
……なんですかこのツッコミどころ満載なオンリー悲惨ストーリーは。ここまでくると逆に喜劇ですよ。
と思って、話の方の作者を調べてみたら……
あの伝説のトラウマ合唱曲、「チコタン」の作詞者だったー!!
(ご存知ない方、ゆっくり、1曲ずつ、歌詞を読み進めていってみてください)
ちょっと、この人の評伝とか出たら読みたいですよほんと。
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