キネティックノベル、の用語を使いたいところだけど、あれは短編に特化したジャンルにするつもりのようだからやっぱりノベルゲーム、ということで。
ノベルゲームっていうのは、今までの数ある表現媒体の中で最も特異な位置にあるんじゃないか。50時間もの時間をただただ物語の主人公に寄り添って過ごすような作品が、他のジャンルで生まれ得るだろうか。映画はせいぜい3時間が良いところ。テレビシリーズのドラマやアニメなら、長く続けばそのくらいの分量になるかもしれない。が、それをぶっ通しで観ることはまずありえない。
読むのにとてつもない時間がかかる超大作の小説があったとしても、それがただただ1人称で日常を等速で記述するような形である可能性はゼロに等しい。
演奏に7日7晩かかる現代音楽があるって? 誰がそんなもの相手にする?
特定の作品に、これだけ長い時間かかわるジャンルはおそらくノベルゲームだけだ。
というわけで、引きこもりが1日の大半をノベルゲームに費やしたとき、そこには歴史上いまだかつて存在しなかったほどの危険な共感状態が出現しうるのだ。
事実、このような事例が報告されている――
続きはまた。
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