田中啓文『UMAハンター馬子 完全版1,2』。超・ハード・伝奇・SF・駄洒落小説。この完全版2のAmazonカスタマーレビュー、「よくわからないながらも何かすごい〜」というくだりに、なぜか笑ってしまった。
主人公は傍若無人でお下劣で淫乱な、派手派手の「大阪のおばはん」。
毎回のお約束と化した、脱力するような駄洒落オチ。
しかし、にもかかわらず、この作品には大いなるSF的感動がある。作者のUMAへの真摯な愛情が伝わってくる。
馬子萌え〜。いや、ほんとに萌えるから。「大阪のおばはん」なのに、読了後は涙なしに語れませんよ。
蘇我家馬子は大阪のおばはんと言ったってただのおばはんじゃない。実は伝統芸能「おんびき祭文」の担い手で、その芸は初めて見る者をも熱狂の渦に巻き込むほどの力を秘めているという、そんな底知れない人なのだ。UMAハンターというタイトルだが、本人はUMAを追っているわけじゃなくて、不老不死伝説を求めて、弟子のイルカとふたり各地を旅している。でまあ、行く先々でUMAの正体を暴いていく、と。ツチノコ編やクラーケン編の謎解きには感嘆した。
そんな中、やはり不老不死の秘密を追い求める山野千太郎という男との確執やらを経て、最後には馬子がなぜ不老不死の秘密を探っているのか、といったことが明らかになる。と同時に、とんでもないスペクタクルなクライマックスもあります。
脱力し、脱力しながら笑い、最後には感動が。もうね、大好き。
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