もりげのどうかと思うような日記

▼ 杏仁ごはん

宿泊先には外国人も多い。

彼らは、朝食時にはほぼ洋食メニューオンリーで、食後にはオレンジを幾切れも食べる。これはどうやら絶対的な法則であるらしい。

今日は、そんな外国人客の中に、ご飯茶碗に杏仁豆腐を盛っているラテン系の女性を見かけた。あらあら、デザート皿もあるのになあ、と思って見ていたら、彼女は器用に箸を使ってそれを食べ始めた。杏仁豆腐が箸で食えるくらいなので、相当の手練れである。そんなふうに日本文化に馴染んだ彼女でも、和食の惣菜は決して口にしないのだ……

などと思いをめぐらせていたとき、突如として私は驚くべき光景を目にすることになった。杏仁豆腐の下から、ご飯が出てきたのである。

彼女はデザート皿と間違えて杏仁豆腐を盛ったのではなかった。杏仁豆腐どんぶりを作っていたのだ。丼ものを食うならデザート皿に盛るわけがない。茶碗で正解だ。

和の惣菜がどうこう、どころではなく、丼文化までもきちんと理解した彼女は、実に完璧に日本通であるといえそうだ。