というわけで、ああ、つまりなんだ、状態はいいと思っていてもなんか結局ふわふわしてるのがこの季節なんであって。それも一興ではありますけどね。
さて、片理誠『終末の海』を読んだ。作品自体については特に触れないけど、ひとつ読みながら強く感じたことがある。それは、少年・子どもといったキャラクターを活写できる才能というのは、稀有なものなんだろうな、ということ。えー、実のところ、この作品においてその才能を感じることはできなかったんですけど。正直に言っていろいろと違和感があった。
なんだろうなあ、少年時代の記憶がたくさんあれば少年を描けるわけでもない、という気はする。
あと子供の心理や行動を見事に描き出す人って、精神疾患やそれに準ずる思考もうまく書くようにも思えるんだけど、今そう書きながら思い浮かぶ作家がひとりしかいないので、本当のところどうなんだろうか。
いや、そもそも少年をうまく書く小説家って誰がいたっけ。
えーと、……ちょっと求めるものとベクトルは違うけど、ミルハウザーあたりかなあ。そういえば彼も『三つの小さな王国』で、偏執的な(とは違う気もするけど)アニメ職人の話とか、異常な絵描きの話とかを異様なリアリティで描いていたような記憶があるよ。
読み返しもせずにこうして文章にする自分に疑問を抱かないでもないけど、春だし、夜だし、ね。
で、一番言いたいのは、少年をうまく書く人を思いついたらぜひ教えてください。すごくそういうものを読みたくなった。
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