とあるオタク恋愛物語の中ですら「ケミカル」が敵視されているのを見つけて、その価値観にどうしても物申してやりたくなった。
なぜだ。なぜ誰もそれほどまでに文化に隷属して生きられるのだ。
いますぐ、秋葉原の若者たちが主導して、ケミカルウォッシュ復権運動を開始すべきである。
ヴィンテージがどうこうとか言って大枚はたいてる人間は、腹を切って死ぬべきである。
ファッションなどというファッショは滅びるべきである。
――お米ひとつぶには、八十八人の神様がいるという。
ならば、体積にしてその何千何万倍にもなるだろうケミカルGパンには、数え切れぬほどの神様がいるはずだ。それを、笑うのか。神を、笑うのか。
ケミカルGパンをぴっちり穿きこなした人間は、バカ高いズボンをずり下げて穿く輩と比較するに、すべてにおいて合理的・合目的的であり、素晴しい。
しかし本心から、服なんて着られりゃいいじゃんと思うんだけどなあ。そういう世界になって欲しいなあ。
ともかくま、現実問題を考えるなら、背伸びしたダサな人って一番わらえるので、それだけは回避したいところ。唐突にフェンディのマフラーを巻いてくるようになった「そういう感じの男性知人」は、みんなに笑われていた。本人は知らないだろうけど。
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