普段あまりヘビーローテーションというようなことはやらないのだが(アニソンならともかくとして)、やたらとツボに来てしまった。
Reynaldo Hahn(レイナルド・アーン)のピアノ四重奏曲(第3番)、ピアノ五重奏曲。
いやどうしようかねと思うくらい。
過度に深刻にならず、叙情的だがどぎつくなく、総じて温か。懐かしくて胸が痛い。
こう、ふと思い出すことがある。部屋の窓から射す光に埃が舞っていた春の日とか。こうして何でもなかった光景が大切な思い出になっていったりするのである。たぶん、そんな音楽たち。
いつまでもこれらの曲に浸っていられたらそれだけで幸せだ。
循環主題(終楽章で第一楽章のモチーフが出てくるとか)がお好みのようで、いつもそのネタばっかりなんだけど、それでもいいのだ。もともとそういうのぼくも好きだし。なによりそのモチーフのメロディー自体がね。歌曲作曲家として知られるだけのことはあるといいますか。
自分では深刻でわけわからないほど力が入ってて暗い曲が好みだとばかり思っていたが、そうでもないのかもしれない。
しかし、20世紀のクラシック業界といったら、前衛バリバリで、「音楽をパラメータに分解して数学的に曲を作ってみよう」とかやってたのだよ。というか、それをしなきゃまともな作曲家としては扱われなかったわけで。アホですか。テクノの人たちのほうがよほど前に進んでるってば。
そんな中、19世紀中ごろくらいのやり方に固執していたアーンは偉いと思う。「音楽は耳に心地よくなくてはならない」が信条だったそうで。基本的には大賛成。
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