故あって歯型を取った。ま、むかし通ってた矯正歯科の検査というだけなんですけど。
この歯型を取るというのは結構たいへんなことで、アルギン酸塩印象材と呼ばれる色つきセメントのようなものを、金属製の網にこんもりと盛り付け、口の中にぐちゃりむちょっ、と突っ込んで、数分間、放置するわけである。ひんやりべちょべちょの印象材ははっきり言って気持ちが悪いし、ぼけーっと口をあけたまま、印象材が固まるのを待つ時間は、かなり苦しい。特に、上顎の型を取るときには、口呼吸はほぼ不可能と言って良い。
今日はそれを3回もやらされる羽目になったのだけど、2回目のとき、口の中に印象材を詰め込み、鼻でゆっくり呼吸をしながら、ふと
「これで鼻がつまってたら、おれはこの場で死ぬよな」
という考えが頭に浮かんでしまったのだった。ピンク色をした印象材と、銀色に光る網の柄を口からはみ出させたまま、呼吸ができずに白目を剥いて昏倒する自分の姿を想像すると、なぜだか無性におかしくなってきて、笑いがこみ上げるのを必死で我慢していた。
3回目の印象材をこね回しながら歯科助手の女性がやってきたとき、つい訊ねてしまった。
「あの、これって、もし鼻がつまってたら、死にますよね?」
「あはは、そうですねぇ、かなり辛いですよね。花粉症の季節なんかは、本当に嫌がる患者さんもいらっしゃいますよ」
やっぱり。でも、実際に死んだ人はいないようだった。苦労すれば口呼吸もできるということなのだろうか。ためしにやってみようとしたが、吐きそうだったのでやめた。
もう戻ってこないかと心配していたが、ハエが戻ってきた! 5匹も。思い切ってお菓子を多めに与え、臭いをきつくしたのが功を奏したのだろうか。しかしさすがにちょっと臭いすぎなので、牛乳を2杯やってみた。
体重:168g/ハエ:5匹/水分:49%/臭い:96%/臭っているようです。
mail:gerimo@hotmail.com
歯形取りはつらいですよね。でも、確か上顎の歯形をとってる最中も口呼吸できましたよ。やってたのは小学校ぐらいの話なのでよく覚えてませんが。
口呼吸、できましたか。ちょっとした努力と技術が要りそうに思えました。最近はしかし、印象材も改良が進んだようで、固まるまでの時間が調節できたり、カスが残りにくかったり、昔に比べれば大分ましに感じます。