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もりげのどうかと思うような日記

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2006年11月04日(土) 秋の夕立

Lia "dearly"

いちおう、麻枝准のファンを自任するものとして触れぬわけにもいかぬげな。えーと、正直なところ、 Key+Lia の "karma" 1曲のために3000円出したも同然です。それはそれで別に悔いはない。

"karma" は、生贄にされる運命にある半分白痴の少女とその幼馴染の少年の物語。ベタな泣かせ設定だけれども、言葉の選び方もメロディーの選び方も曲全体の構成も、ぜんぶ麻枝印がこれでもかとばかりに刻まれていて凄まじい。アレンジャーも本当に良い仕事しているのでこれまでの Key+Lia の中でも完成度はいちばんじゃないかと思う。だーまえスキーならこの1曲のために躊躇なく買ってよいよ。

以前から思っていたことなんだけど、麻枝准のゲームのヒロインについて「白痴にしか見えない」という言葉を使って否定したつもりの人が多いのはなぜなんだろう、と。ええ白痴ですよ白痴ですとも。しかし彼の描く白痴は白痴なりに生きているし、白痴だけにしか持ち得ない純粋を抱えているのだ。

その純粋さはたしかに何らかの欠落でもあって、なにしろ彼のキャラクターってのは、こんな短い曲の歌詞として彼の選んだほんの2つ3つの言葉で全体像がほとんど完璧に想像されてしまう程度の類型に過ぎないわけだ。過ぎないのではあるが、それはあるひとつの切実なファンタジーなのですよ。

で、アルバム全体について何かこの1曲以上に語るべきことがあるかというと、ないです。 "Last regrets" ? こんな凡アレンジのモナカない曲なんて知りません。原曲のがずっとよかった。彩菜の歌はうまくなってるけど。

わたしゃ Lia という歌い手は好きなのだ。独特の張りのある歌声は気持ちが良いし、表現もストレートでけっこう幅も広い。しかし、 "karma" とその他を比べたとき、1曲の重みの違いってのはどうやったって明らかで、なんだか切ない。中にはいくつかちょっと素敵なのもあるんだけれど。むろん "Beautiful Dreamer" がすばらしい曲であるのは当たり前だし。

個人的にはだーまえプロデュースに戻ってアルバムひとつ作って欲しいですよ。たぶんレーベルの意向とは合致しないんだろうけど。それでも "karma" は Lia 本人がわざわざ麻枝曲が歌いたいからと頼みこんだようだし、不可能じゃなかろうて。

とはいえ歌手 Lia としては Key+Lia ってのはある意味毒にもなりうるのだろうなぁ。坂本真綾にとって菅野よう子プロデュースがそうだったように。

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  1. もりげ (04-13)
  2. トリガラ (04-13)
  3. V林田 (04-12)


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