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もりげのどうかと思うような日記

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2007年02月23日(金) 気合いれろ俺

レイ・カーツワイル『ポスト・ヒューマン誕生――コンピュータが人類の知性を超えるとき』

理知的な分析にして誇大妄想狂の幻視、正に科学の統べる新時代の聖典。

ヤバいね。個人的にはここ50年くらいに出版された一般科学書の中で最重要なんじゃないかと思っておりますよ。

原書タイトルは The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology (シンギュラリティは近い:人類が生物学を超越するとき)。2020年台には人間の脳の処理能力を遥かに超えたコンピュータが生み出される。GNR(遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学)の革命によって、我々人類は肉体的にも精神的にも大幅に強化されることになる。

そして2045年――カーツワイルの唱える特異点(シンギュラリティ)の年――そこから、すべてが変わるのだ。死も、故障ばかりのくだらない肉体も、すべては過去のものとなる。そして、数百年もすれば、もしかすると我々の知性は全宇宙に行き渡り、宇宙知性が目覚めるかもしれない――

最近続々と翻訳されている「ニュー・スペースオペラ」の潮流は本書に(あるいは、本書の源流にあったアイディアと同じものに)触発されたものなわけだけど、SFの世界にとどまってよい話ではない。

もう私が勝手に宣言します。今後は本書の内容に真正面から向き合った言説以外、あらゆる言説がクズ同然となります。文学・哲学・芸術理論・政治思想・経済予測など、ジャンルを問わず。

特に政治を志す人間はすべからく読むべきで、つまりテクノロジーの進化を政治がおさえこむことによる悲劇(防御策の開発がままならない内に、ならずもの国家がナノボットでテロを起こす、とか含む)は何としても回避せねばならない。

どうでもいいけど、カーツワイルが技術革新が政治的な締め付けやラッダイト運動によって遅らされるのを恐れる理由って、明らかに、自分が生きているうちに死が克服されねばならない! っていう信念からだよね。いやまあ、それだけの信仰を注ぎ込める物語は今の時代こういう形を取らざるを得ないんだし、しかも説得力あるんだから困る。

私も熱狂的なシンギュラリタリアンになってしまいそうです。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ トリガラ (2007年02月25日(日) 01:37)

これも読まないとなぁ。シンギュラリティって、何だか凄い興奮するんだけど、実際そういう社会になったらなったで、根が無常観的な自分は鈍くさい生き物で終わる事を選択する様な気がします。<br>お給料が出たので、Kanon買ってきました。色々考えたんですが、PSPだと本体ごと買う必要があるのと、仮に買ったとして電車でする根性が無いという結論でPS2版にしました。<br>一緒に買ったデストロイオールヒューマンズ(日本版の監修に山本弘が名を連ねてるお馬鹿洋ゲー)と重ねて積んであります。<br>後少しで仕事が一段落するので楽しみにしながら一頑張りの毎日です。

_ もりげ (2007年02月26日(月) 22:51)

私は宇宙の知的な宿命なんてものがあるならそれを見てみたいです。それを励みに生きていくくらいの勢いです。<br>それに、強化された人たちの世界ではゲームの難易度とか小説の難解さとか物凄いアップするんですよきっと……。<br>デストロイオールヒューマンズ、楽しそうで仕方ないです。コンシューマー機がないというのが問題です。とりあえずDSを買わないとなあと思う今日このごろ。

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