電話がかかってきたのです。先日依頼されたとある件についての担当者さんからの電話でした。
「えーと、今度の○○をもりげ先生にお願いしたいのですが、もうお話は……」
うわーん。先生ってなんだ……。絶対むこう年上だっての。ともかく、返事はしないわけにもいきませんので気を取り直してしゃべります。
「あ、はい、うかがっております」
「ありがとうございます。つきましてはですね、先生に確認していただきたいことがございまして」
うわーん。まだ言ってる。……って、それもそうだ。最初「もりげ先生」だったのがことばを交わすたびに「もりげさん」「もりげクン」「もりげ」と呼称がどんどんグレードダウンしていくとかありえないです。「先生」とつけたからには最後まで「先生」で押し通す気なのに決まってます。
もうこうなると「先生」しか耳に入ってこない。「先生が」「先生」「先生は」「先生の」……うへえ。
で、しばらく悩んだあげくに言いましたよ。
「あのう、できれば『先生』はやめていただけるとありがたいんですが……」
気まずくなったらどうしようかと思ったけど、相手の方も笑いながら
「あ、ではもりげさん、で」
とすぐ答えてくれたのは、さすがに自分で言ってて違和感おぼえてたのに違いありません。その後ちょっと関係ないお話をしてたらうちの大学に以前勤めてらした方でした。
そっちが先生ですよ!! こっちは学生ですよ!
最初から向こうはその関係を知ってたらしい。わかってて学生相手に先生つけるってのは、なんだ。からかってたのか。そんなお人柄には思えなかったんだけど……。
ともかく、なんだか珍しい体験をしたことでした。
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