仁木稔『グアルディア』読了。大災厄後の荒廃した世界、人格を侵食してゆく「生体甲冑」、不老長生、軌道上の知性機械、その機械にアクセスするための「生体端末」、そしてそれらが織り成すのは生と死と愛についての物語………………。これは出すレーベルが間違ってませんか。重いのが好きなラノベ作家っていう立ち位置も世の中にはあるはずですけどどうですか。
一体で2万の兵を根こそぎにする生体甲冑の描写なんてまんま安っぽい変身アンチヒーローで、どうにか科学的に説明しようとしてはいるような気がするのだが(もしかしたらしてないのかも)、ぜんぜん意味不明でどう反応していいのかわからない。スペイン系の単語を使うのは、ラテンアメリカ文学の力を拝借しようとしているみたいだけど、あんな魔術的な濃厚さは見当たらない。
ラスト付近はやりたかったことが見えてきて、それなりに「おお、なるほど」と思わされたけれど、それも何か驚嘆すべき感動が待ち受けているわけでもないのだった。書き方次第でもっと深い作品になっただろうになあ。
せっかく佐藤亜紀氏の講座に通われたのならば、「小説の書き方なんて教えてもらおうとは思いません」などと言わず、佐藤氏のあの圧倒的な文章表現力を学ばせてもらうべきだったのだ。
というようなわけで、こちらはすでにJコレ送別会の様相を呈しているのですが、ほんとう一区切りと言いつつ終わっちまいそうな臭いがなくもないです。最近のラインナップ見てるとなんともかんとも……。
叢書はつぶれたとしても、刊行予定だった菅・林・藤崎・飛・野尻氏あたりの作品にはどのような形であれ早く日の目を見せてほしいものです。
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