東の空まで赤紫に薄く染まって、糸くずのような月はだんだん光を増す。今日は割と雲がきれいだったので写真でも撮ってやろうと思ったけど、歩いている場所が悪かった。新しく建った高い集合住宅に阻まれて、空はいびつに欠けてしまって駄目だ。
もう地上には日の光は届かないけど、飛行機が短い尾を引いて飛ぶのが、ちょうど狙ったように明るく橙色に照らされて見える。火達磨になって地上に落ちゆく人工衛星の残骸みたいだと思った。そんなもの見たことないんだけど。
ランドセル祈願祭の張り紙を見つけて心を和ませてみる。空の上をゆくあの光も、この張り紙も、地上の人の夢が作ったものだった。
ところで、深夜に書いたラブレターは絶対に次の朝に見直せ、と言われる。これはラブレターに限らず、どんな文章でもそうすべきだと思う。この日記は、そんなことお構いなし。けっこう漢らしい態度だ。我ながら惚れ惚れするぜ。
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